北村薫『雪月花』新潮社 2020年刊
今年の朔太郎忌、
北村薫さんがゲストでいらっしゃる♪
この『雪月花』をもう一度、読み返しました。
「本と本とが響き合い奏でる音を愛でる日々。
読書愛あふれる初の私小説。
解決のない疑問は、解毒剤のない毒薬のようなものだ
――どうして! なぜ?と謎は深まる。
江戸川乱歩、三島由紀夫、芥川龍之介、山田風太郎、福永武彦.
.....小説、俳句、詩歌に音楽、小沢昭一の随筆も登場。」
と紹介にある。
が、最初に取りあげているのは朔太郎。
「四輪馬車」をどう読むか(詩にはルビはない)、
「しりんばしゃ」か、「よりんばしゃ」か。
<しずかに><きしれ><しりんばしゃ>と「し」の音を大切にしたい。
いや、<よりんばしゃ>でしょう。
CDでは谷川俊太郎も岸田今日子もそう読んでいる。
あるいは朔太郎のオノマトペについて。
あの<のをあある とをあある やわあ>という犬の吠える声。
鶏は<とをてくう、とをるもう、とをるもう>をめぐる考察。
本を読んで、ふとおこる疑問、
その<謎>をたどり、時空をめぐる。
そんな本の愉しみが次から次へと繰り広げられる♪
それがこの『雪月花』。
目次
よむ
つき
ゆめ
ゆき
ことば
はな
ほんわりとした装画や挿画は大野隆司。
◆北村 薫
1949年埼玉県生まれ。早稲田大学ではミステリ・クラブに所属。
母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、
89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。
91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。
小説に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)
『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。
読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジー、
創作や編集についての著書もある。
2016年日本ミステリー文学大賞受賞