凄絶、ハンニガンのオフィーリア! 苦悩のハムレット! オペラ「ハムレット」ディーン、世界初演!  | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オペラ「ハムレット」は、

 

オーストラリアのブレット・ディーンに作曲され、

 

2017年世界初演されたグラインドボーンでの映像。

 

プレミアムシアターで鑑賞。

 

 

シェイクスピアの戯曲「ハムレット」は

 

多くの作曲家がオペラにして、なかでもトマの作品は有名。

 

 

ディーン「ハムレット」は無調音楽が、

 

じつに不穏で不気味な、

 

不安をかき立ておかない音がつづく現代音楽作品。

 

打楽器奏者やクラリネット、トランペットが

 

オーケストラ・ピットだけでなく、

 

観客席の上段にも配置され、

 

合唱もピットのなかにもいて、舞台の合唱と響きあっていたという。

 

 

 

この舞台の緊張感はただならない。

 

タイトルロールのアラン・クレイトンのハムレット!

 

その苦悩、その悲嘆、その装われた狂気、

 

二幕で剣での立ち回り、その死。

 

くっきりとハムレット造形し、あますところがない。

 

歌や演技というより「ハムレット」がそこに存在する。

 

 

ハムレットの顔は白塗り、

 

オフィーリアも、王も王妃もすべての登場人物の顔も同様に白い。

 

まるで仮面。

 

その人物、場が異化されてゆく。

 

 

そしてオフィーリアのバーバラ・ハンニガン、凄絶!

 

一幕の愛を信じる麗しい乙女、

 

そして二幕の凄絶な狂気!

 

泥にまみれた四肢に下着姿、

 

殺された父の燕尾服をまとい、狂う姿は鬼気迫り、

 

舞台上、劇場中が息をのむ。圧巻!

 

 

それぞれのキャストがピタッとはまり、

 

このどろどろした「ハムレット」が

 

歌手、演出、音楽を得て、このうえない作品となった。

 

 

美しいメロディーがあるわけでも、

 

ここちよく響きあうハーモニーや

 

声を楽しむ重唱があるわけでもない

 

現代音楽のオペラにこれほど惹きつけるられる・・・

 

 

台本はマシュー・ジョスリン。

 

全てのリブレットをシェイクスピア戯曲から取っている由。

 

(日本語の字幕にちょっと違和感)

 

 

指揮はウラディーミル・ユロフスキ。

 

なんと緊密な音!

 

ここグラインドボーンの前監督とか。

 

 

 

 

ディーン:歌劇『ハムレット』全曲

 ハムレット/アラン・クレイトン


 ガートルード/サラ・コノリー


 オフィーリア/バーバラ・ハンニガン


 クローディアス/ロッド・ギルフリー


 ポローニアス/キム・ベグリー


 先王ハムレットの幽霊/ジョン・トムリンソン


 ホレイショー/ジャック・インブライロ
 レアティーズ/デイヴィッド・バット・フィリップ
 ローゼンクランツ/ルパート・エンティクナップ
 ギルデンスターン/クリストファー・ローリー

 


 グラインドボーン合唱団
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団


 ヴラディーミル・ユロフスキー(指揮)

 演出:ニール・アームフィールド


 装置:ラルフ・マイヤーズ
 衣装:アリス・バビッジ

 収録時期:2017年
 収録場所:イギリス、グラインドボーン歌劇場(ライヴ)