「カルメン」2022年、ヴェローナ野外劇場での公演。
なんといってもうれしいのは
タイトルロールの「カルメン」を歌うガランチャ!
カルメンの出はタバコ工場からですが、その美しさに驚嘆。
全身からひかりが放射されているようで、まさに<登場>。
この1万6000人収容の巨大な空間を圧していました。
「ハバネラ」、この歌を表情もゆたかに
フレーズを効かせ、ずいぶん発音も丁重。
まさに生の<女>。
つややかで、したたかで、つよい。
ガランチャのカルメンで印象的なのは2010年のMET。
当時34歳の若手。
この舞台では46歳の円熟期です。
(今なら全編視聴出来ます。ドイツ語字)
演出は2019年に亡くなったゼッフィレッリ。
フランコ・ゼフィレッリ生誕100年記念の「カルメン」で、
舞台美術、衣装もじつにオーソドックスなステージ。
大人数のコーラス、キャストが舞台を埋め尽くす。
馬も本物!?
このようなゴージャスな舞台を2022年に上演というのは感慨深いものがあります。
そしてアントニオ・ガデスの舞踊団によるフラメンコが熱演がすばらしい。
これぞアレーナ・ディ・ヴェローナ!
ドン・ホセはジャッジ。声も演技も悪くない。
いかにも一途に恋情をかかえる<男>。
このオペラはそのホセの悲劇でもあるのですが、
いまひとつ暗い熱情がないのかも。
スグーラのエスカミーリョはもうけ役。
「闘牛士の歌」で盛り上がり、
4幕ではカルメンとの二重唱も♪
指揮はアルミリアート。
いかにもオペラのマエストロでじつに手堅い。
序曲の出から、勢いもあり、煽るところは煽り、
この演出をしっかりと支え、舞台をがっちりとしめる。
<出演>
カルメン:エリーナ・ガランチャ [Elīna Garanča]
ドン・ホセ:ブライアン・ジャッジ [Brian Jagde]
ミカエラ:マリア・テレサ・レーヴァ [Maria Teresa Leva]
エスカミーリョ:クラウディオ・スグーラ [Claudio Sgura]
<舞 踊> アントニオ・ガデス舞踊団
<合 唱> アレーナ・ディ・ヴェローナ合唱団
<管弦楽> アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団 [Orchestra Arena di Verona]
<指 揮> マルコ・アルミリアート [Marco Armiliato]
<演出・美術> フランコ・ゼッフィレッリ [Franco Zeffirelli]
収録:2022年8月11・14日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)