つややか、つよい、ガランチャの「カルメン」! @ヴェローナ野外歌劇場2022 プレミアムシアター | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カルメン」2022年、ヴェローナ野外劇場での公演。

 

なんといってもうれしいのは

 

タイトルロールの「カルメン」を歌うガランチャ!

 

 

カルメンの出はタバコ工場からですが、その美しさに驚嘆。

 

全身からひかりが放射されているようで、まさに<登場>。

 

この1万6000人収容の巨大な空間を圧していました。

 

「ハバネラ」、この歌を表情もゆたかに

 

フレーズを効かせ、ずいぶん発音も丁重。

 

まさに生の<女>。

 

つややかで、したたかで、つよい。



ガランチャのカルメンで印象的なのは2010年のMET。

 

当時34歳の若手。

 

この舞台では46歳の円熟期です。

 



 


(今なら全編視聴出来ます。ドイツ語字)


 

 

演出は2019年に亡くなったゼッフィレッリ。

 

フランコ・ゼフィレッリ生誕100年記念の「カルメン」で、

 

舞台美術、衣装もじつにオーソドックスなステージ。

 

大人数のコーラス、キャストが舞台を埋め尽くす。

 

馬も本物!?

 

このようなゴージャスな舞台を2022年に上演というのは感慨深いものがあります。

 

そしてアントニオ・ガデスの舞踊団によるフラメンコが熱演がすばらしい。


これぞアレーナ・ディ・ヴェローナ!

 

ドン・ホセはジャッジ。声も演技も悪くない。

 

いかにも一途に恋情をかかえる<男>。

 

このオペラはそのホセの悲劇でもあるのですが、

 

いまひとつ暗い熱情がないのかも。

 

 

スグーラのエスカミーリョはもうけ役。

 

「闘牛士の歌」で盛り上がり、

 

4幕ではカルメンとの二重唱も♪

 

 

指揮はアルミリアート。

 

いかにもオペラのマエストロでじつに手堅い。

 

序曲の出から、勢いもあり、煽るところは煽り、

 

この演出をしっかりと支え、舞台をがっちりとしめる。

 

 



 

 <出演>
 カルメン:エリーナ・ガランチャ [Elīna Garanča]


 ドン・ホセ:ブライアン・ジャッジ [Brian Jagde] 


 ミカエラ:マリア・テレサ・レーヴァ [Maria Teresa Leva]


 エスカミーリョ:クラウディオ・スグーラ [Claudio Sgura]


  
<舞 踊> アントニオ・ガデス舞踊団


<合 唱> アレーナ・ディ・ヴェローナ合唱団


<管弦楽> アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団 [Orchestra Arena di Verona]


<指 揮> マルコ・アルミリアート [Marco Armiliato]


<演出・美術> フランコ・ゼッフィレッリ [Franco Zeffirelli]

収録:2022年8月11・14日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)