「竹」<萩原朔太郎を朗読する> 「竹」は2篇、あります。 詩集『月に吠える』1917年刊 中村稔は『萩原朔太郎論』でこの詩を 「鋭く、真直に生える竹は懺悔するものが、 かくありたい、と祈禱するかたちであり、 懺悔終わったときには、 彼自身もそうした竹をもつに至る」と。 竹 ますぐなるもの地面に生え、 するどき青きもの地面に生え、 凍れる冬をつらぬきて、 そのみどり葉光る朝の空路に、 なみだたれ、 なみだをたれ、 いまはや懺悔をはれる肩の上より けぶれる竹の根はひろごり、 するどき青きもの地面に生え。