梯久美子著『この父ありて 娘たちの歳月』2022年刊 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

梯久美子著『父ありて』文藝春秋 2022年刊

 

 

9人の書き手とその父をくっきりと描く。

 

その筆致は、丹念にして潔い。

 

そして梯は「“父と出会うのは”死んでから」という。

 

 

その娘たちは

 

渡辺和子、斎藤史、島尾ミホ、石垣りん、茨木のり子

 

田辺聖子、辺見じゅん、萩原葉子、石牟礼道子。

 

その父との邂逅への道は

 

「愛」、そして「憎」が娘たちを

 

<書く人>へと鍛えてゆく。

 

「生きる」ということは

 

「書くこと」であった娘たち。

 

その父との歳月が差し出され、

 

内奥に触れてくる作。

 

 

 

 

◆目次 (本の紹介より)

・渡辺和子
目の前で父を惨殺された娘はなぜ、

「あの場にいられてよかった」と語ったのか?

・齋藤 史 
二・二六事件で父は投獄された。

その死後、天皇と対面した娘が抱いた感慨とは――。

・島尾ミホ
慈愛に満ちた父を捨て、

娘は幸薄い結婚を選んでしまい、それを悔い続けた......。

・石垣りん
四人目の妻に甘えて暮らす、老いた父。

嫌悪の中で、それでも娘は家族を養い続けた。

・茨木のり子
時代に先駆けて「女の自立」を説いた父の教えを、娘は生涯貫いた。

・田辺聖子
終戦後の混乱と窮乏のなかで病み衰えた父の弱さを、

娘は受け入れられなかった。

・辺見じゅん 父の望む人生を捨てた娘は、
父の時代――戦争の物語を語り継ぐことを仕事とした。

・萩原葉子
私は、父・朔太郎の犠牲者だった――。

書かずには死ねないとの一念が、娘を作家にした。

・石牟礼道子
貧しく苦しい生活の中でも自前の哲学を生きた父を、

娘は生涯の範とした。


・「書く女」とその父 あとがきにかえて