遠田潤子『イオカステの揺籃』 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠田潤子『イオカステの揺籃(ゆりかご)』、

 

9月の新刊です。

 

鋭く描かれる<母親の問題>。

 

母親と息子、母親と娘、母親と父親、

 

それぞれの深く絡み合った関係性が

 

これでもかこれでもかとたたみかける。しかも息苦しい。

 

遠田さんはその筆致の確かさで、

 

ぐいぐいと引っ張ってゆく。

 

それだけに終末の蜘蛛の糸のような、

 

ほんのひとすじのひかりが染み入って。

 

 

カバー写真:Martin

 

装幀:鈴木久美

 

造本がこよなく美しい。

 

 

◆遠田潤子さんはインタビューで、このように語って

 

「生きるために自分の居場所をどこに見つけるかというテーマで、

 

私は小説を書きたいのだと思います。

 

家から逃げ出したり、家と戦ったりして、

 

新しい居場所を自分で作らなければいけません。

 

そのプロセスを私は書きたい。」

 

 

◆本紹介文はこちら

 

「バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。

 

「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。

 

ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。

 

母に反発して自由に生きる妹。

 

英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。

 

だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、

 

母が壊れはじめた......。その異常な干渉」