描きつくす、生きつくす、凄絶そして美しい 遠田潤子『人でなしの櫻』 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父が壊した女。それでも俺はあの女が描きたい」。

遠田潤子「人でなしの櫻」のジャックはこれ。


「人間の業の極限に挑んだ」書かれたこの小説、

 

どこまでも、人非人となり、鬼となってすら

 

描きたい、描き切りたいと切望する日本画家。

 

すでに余命はわずか。

 

その描きたいというのは

 

父親が11年監禁した少女。

 

 

極限の状態がこれでもか、

 

これでもかと押し寄せ、

 

その怒濤の中で描くとは、生きるとは

 

その密度、

 

その濃度、

 

緊迫した時空を余すところなく書き切った作品。

 

 

遠田潤子「人でなしの櫻」 講談社 2022年3月刊

 

装幀:鈴木久美

 

写真:蜷川実花

 



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「しがない日本画家の竹井清秀は、
妻子を同時に喪ってから生きた人間を描けず、
「死体画家」と揶揄されていた。
ある晩、急な電話に駆けつけると、
長らく絶縁したままの天才料理人の父、康則の遺体があり、
全裸で震える少女、蓮子がいた。
十一年にわたり父が密かに匿っていたのだ。
激しい嫌悪を覚える一方で、

どうしようもなく蓮子に惹かれていく」。