かつて、笙(伶楽舎)とメゾソプラノのわたしで、
催馬楽(さいばら)を演奏しました。
その笙奏者 田島和枝さん、
2022年6月に帰幽されました。
そのおりのことを偲んでこのブログを。
伶楽舎
伶楽舎について | 伶楽舎 (reigakusha.com)
歌(メゾソプラノ)と笙で
新たに構成したものを上演しました。
その装束(しょうぞく)は
狩衣(かりぎぬ)にいたしました。
指貫(さしぬき)風なパンツにステージシューズの
なんちゃって装束でしたが(笑)
狩衣は平安朝のメンズカジュアルで、
実際に狩りの時など、袖の紐をしぼると
ぐっと活動的になります。
この着付けも田島さんにやってくださって♪
今から千年も前の曲を自分の身体(しんたい)をとおし、
メゾソプラノの<声>で歌う、
この不可思議!?
明治選定譜という催馬楽や朗詠などを、
五線で採譜した楽譜があります。
この楽譜を使ったのですが、
オペラや声楽曲をうたうベルカントとは
まったく異なる唱法なので、
呼吸がひじょうに難しい。
息が逆流するかと思いました(汗)。
曲は「伊勢之海」と「更衣」。
「伊勢の海」は源氏物語の須磨明石で
光源氏がつれづれに管絃の遊びのおり謡った曲。
伊勢之海(いせのうみ)
伊勢の海の 清き渚に 潮間(しおがい)に
なのりそ神馬藻や摘まむ
貝や拾はむ 玉や拾はむ
更衣( ころもがえ)
ころも衣がへせんや
しゃ公達(きんだち)
我がきぬ衣は
のはらしのはら野原篠原
萩のはなす花摺りや しゃ公達や
◆手にもっている楽器は笏拍子(しゃくびょうし)
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◆催馬楽
催馬楽というのは平安時代に中国から雅楽が日本化する時、
各地の民謡、わらべうた、風俗歌を編曲した歌曲で、
その語源は、馬子が馬を引きながら歌った歌といわれいます。
宮廷や貴族社会の<管絃の遊び>でもてはやされ
「枕草子」「源氏物語」にも書かれています。
現在は宮内庁樂部が伝承し、
千数百年におよび<生>の音楽が
伝えられているのは驚くべきことです。
催馬楽の編成は斉唱と、
琵琶、笙、篳篥、竜笛、筝の雅樂のオーケストラで合奏されます。