狩衣(かりぎぬ)で、笙とうたう<催馬楽(さいばら)>!? | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天皇即位の儀はまさに平安絵巻。

その雅にして、凛然としていること。


かつて、笙(伶楽舎)の方と

催馬楽(さいばら)を演奏しました。

その装束(しょうぞく)は狩衣(かりぎぬ)にいたしました。

狩衣は平安朝のメンズカジュアルで、

実際に狩りの時など、袖の紐をしぼると

ぐっと活動的になります。


催馬楽というのは平安時代に中国から雅楽が日本化する時、

各地の民謡、わらべうた、風俗歌を編曲した歌曲で、

その語源は、馬子が馬を引きながら歌った歌といわれいます。
 
宮廷や貴族社会の<管絃の遊び>でもてはやされ

「枕草子」「源氏物語」にも書かれています。

現在は宮内庁樂部が伝承し、

千数百年におよび<生>の音楽が

伝えられているのは驚くべきことです。
 
催馬楽の編成は斉唱と、

琵琶、笙、篳篥、竜笛、筝の雅樂のオーケストラで合奏されます。

 

 

 

 

 

 




このときは歌(メゾソプラノ)と笙で

新たに構成したものを上演しました。

今から千年も前の曲を自分の身体(しんたい)をとおし、

<声>で歌いうるという、

この不可思議。

明治選定譜という催馬楽や朗詠などが、

五線で書かれた楽譜があるのですが、
 
オペラや声楽曲をうたうベルカントとは

まったく異なる唱法なので、

呼吸が難しい。

 

息が逆流するかと思いました。



曲は「伊勢之海」と「更衣」。

「伊勢の海」は源氏物語の須磨明石で

光源氏がつれづれに管絃の遊びのおり謡った曲。



   伊勢之海(いせのうみ)

伊勢の海の 清き渚に 潮間(しおがい)に

なのりそ神馬藻や摘まむ 

貝や拾はむ 玉や拾はむ


   更衣( ころもがえ)

ころも衣がへせんや 

しゃ公達(きんだち) 

我がきぬ衣は

のはらしのはら野原篠原 

萩のはなす花摺りや しゃ公達や


最初の画像:手にもっている楽器は笏拍子(しゃくびょうし)
    https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc22/naritachi/gakki/da5.html