ノイヴィルト「オーランドー」、
2019年の世界初演を
NHKプレミシアターで観ることができました!
ダイジェスト版をこちらに。
「オーランドー」はオルガ・ノイヴェルトの現代オペラ。
ウィーン国立歌劇場150周年記念委嘱作。
初の女性作曲家作品とか。
原作「オーランドー」はあのヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)。
この作品は20世紀モダニズム文学。
このオペラでは脚本、演出、衣装も女性。これも話題に。
衣装はコム デ ギャルソンの川久保玲さん。
時代を超越したじつに主張の個性的な衣装で、
この勁い衣装をつけ演じる歌手たちの凄いこと!
指揮はM.ピンチャー。
ライヴ・エレクトロニクスが使われ、
サウンド・エンジニアもいるまさに<現代音楽>。
エリザベス1世統治下のイングランドで生まれた青年貴族オルランドが、
7日間の昏睡状態から目覚めたあと女性へと変身。
女性の文学者として地位を築き、
結婚・出産を経験するという3世紀にわたる物語。
原作にはない世界大戦から
上演された2019年までを描いて。
物語と音楽はアヴァンギャルド。
舞台美術はプロジェクション・マッピングで
舞台を創ってゆきます。
歌手ではタイトルロールを演じる
ケイト・リンジーが圧倒的な凄さ!
彼女の演じるズボン役(メゾソプラノの男役)では
「アグリッピーナ」の狂気ばしったネロが印象深く、
女性役では先日再放送された「ミランダ」。
その両方をこのオペラでは歌い、演じる。
その歌も心地よいメロディーのアリアがあるわけでもなく、
現代音楽の無調であったり、
ほとんど語りのようであったり。
それでいて、
この不思議な存在「オーランドー」の
困惑や絶望さまざまな情感が説得力をもって伝わって。
第二幕には第二次世界大戦のスピーチ、
ウルフの唯一の録音された声が流れ、
その舞台にロックバンドも登場したり
(オペラの中とはいえ、ウイーン歌劇場に!?)。
まさに<現代のオペラ>を観た!
ケイト・リンジー
<出演>
オルランド:ケイト・リンジー [Kate Lindsey, メゾソプラノ]
ナレーター:アンナ・クレメンティ [Anna Clementi]
守護天使:エリック・ジュレナス [Eric Jurenas, カウンターテノール]
・女王/純愛/オルランドの子の友人:コンスタンス・ハウマン [Constance Hauman, ソプラノ]
・オルランドの子供:ジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド [Justin Vivian Bond]
<合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団 [Vienna State Opera Orchestra]
<指揮> マティアス・ピンチャー [Matthias Pintscher]
<脚本> キャサリン・フィルー [Catherine Filloux]
<演出> ポリー・グレイアム [Polly Graham]
収録:2019年12月18・20日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)