衝撃! ノイヴィルト 現代音楽オペラ「オーランドー」 原作はⅤ・ウルフ 青年貴族が女性作家に!? | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                 ノイヴィルト「オーランドー」、

 

2019年の世界初演を

 

NHKプレミシアターで観ることができました!

 

 

ダイジェスト版をこちらに。

 


 





「オーランドー」はオルガ・ノイヴェルトの現代オペラ。

ウィーン国立歌劇場150周年記念委嘱作。

 

初の女性作曲家作品とか。

 

 

原作「オーランドー」はあのヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)。

 

この作品は20世紀モダニズム文学。

 

このオペラでは脚本、演出、衣装も女性。これも話題に。

 

衣装はコム デ ギャルソンの川久保玲さん。

 

時代を超越したじつに主張の個性的な衣装で、

 

この勁い衣装をつけ演じる歌手たちの凄いこと!



 指揮はM.ピンチャー。

 

ライヴ・エレクトロニクスが使われ、

 

サウンド・エンジニアもいるまさに<現代音楽>。



エリザベス1世統治下のイングランドで生まれた青年貴族オルランドが、

 

7日間の昏睡状態から目覚めたあと女性へと変身。

 

女性の文学者として地位を築き、

 

結婚・出産を経験するという3世紀にわたる物語。

 

原作にはない世界大戦から

 

上演された2019年までを描いて。

 

 

 

物語と音楽はアヴァンギャルド。

 

舞台美術はプロジェクション・マッピングで

 

舞台を創ってゆきます。

 

 

歌手ではタイトルロールを演じる

 

ケイト・リンジーが圧倒的な凄さ!

 

彼女の演じるズボン役(メゾソプラノの男役)では

 

「アグリッピーナ」の狂気ばしったネロが印象深く、

 

女性役では先日再放送された「ミランダ」。

 

 

その両方をこのオペラでは歌い、演じる。

 

その歌も心地よいメロディーのアリアがあるわけでもなく、

 

現代音楽の無調であったり、

 

ほとんど語りのようであったり。

 

それでいて、

 

この不思議な存在「オーランドー」の

 

困惑や絶望さまざまな情感が説得力をもって伝わって。

 


    第二幕には第二次世界大戦のスピーチ、

 

      ウルフの唯一の録音された声が流れ、

 

   その舞台にロックバンドも登場したり

 

(オペラの中とはいえ、ウイーン歌劇場に!?)。

 


まさに<現代のオペラ>を観た!

 

 

 


 

ケイト・リンジー




<出演>


 オルランド:ケイト・リンジー [Kate Lindsey, メゾソプラノ]


 ナレーター:アンナ・クレメンティ [Anna Clementi]


 守護天使:エリック・ジュレナス [Eric Jurenas, カウンターテノール]


 ・女王/純愛/オルランドの子の友人:コンスタンス・ハウマン [Constance Hauman, ソプラノ]


 ・オルランドの子供:ジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド [Justin Vivian Bond]



<合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団


<管弦楽> ウィーン国立歌劇場管弦楽団 [Vienna State Opera Orchestra]

 


<指揮> マティアス・ピンチャー [Matthias Pintscher]


<脚本> キャサリン・フィルー [Catherine Filloux]


<演出> ポリー・グレイアム [Polly Graham]



収録:2019年12月18・20日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)