ヴァイオリン協奏曲第一番 ショスタコーヴィチ作曲
読響プレミアムを録画で観ました。
指揮は井上道義
ヴァイオリンは服部百音
壮絶、凄絶なほどの濃密な演奏!
圧倒されました。
この演奏はウクライナ侵攻のまえでしたが、
ショスタコーヴィチの戦時下の
呻き、絶望、を彷彿させる。
指揮の井上道義氏は
「身の回りで何万もの人々が死んでいったドミトリーの作曲時の
嘆きと心象風景は巫女を通じて這い上が」ると。
そう、まさに服部百音さんは巫女。
ショスタコーヴィチを全身全霊で対峙し、
その<音>は人間の存在のぎりぎりの淵で、
あるいは踏み越えてしまうような
「戦争の残虐性と悲劇性が詰まったこの曲、
今触れると激痛が走る傷のような音楽」と百音さん。
ショスタコーヴィチのこの協奏曲は四楽章。
楽章ごとに百音さんのイメージメモがテロップで表示される。
第1楽章 ノクターン
おどろおどろしい始まりから 生と死の境のような
自分の意識を越えた現世ではない世界を音で表現している。
第2楽章 スケルツォ
痛快で滑稽なスケルツォ 裏にはらむ狂気
ショスタコーヴィチの持つ表裏一体の性格が表れている
第3楽章 パッサカリア
嘆きの楽章 純粋な一粒の涙から始まり
それが懺悔となり人を焦がれる気持ちとなり
自分の体が爆発しそうなほど 心が張り裂けてゆく
最後の力が肉体から抜け落ちるなかで 意識だけが覚醒している
そこでは銃声や亡くなった人たちの声が聴こえる
長大なヴァイオリンのソロから 第4楽章へ ブルレスケ
やがて重力と相反するほどのエネルギーが
肉体の中で逆流しクライマックスの
フォルティシモに向かってゆく
服茂百音 プロフィール