山口小夜子「ペレアスとメリザンド」の
メリザンドを演じ、話題を呼んだ1992年の公演を
NHK-BSで観ました。
江戸糸あやつり結城座への客演、
どのように人形と演じるのか、興味深くて。
30本以上の糸をあやつり、
山口小夜子はメリザンドを演じ、
おりにメリザンドの人形を遣う。
各役の人形を遣い、そして台詞をしゃべる。
人形と人の大きさの異なったものが、気にならなくなって
不思議な時空が顕れるその舞台。
この作品は「青い鳥」のメーテル・リンクによって書かれ、
オペラではドビュッシーの作曲しています。
つねにメリザンドの<正体>のなさ、
なんなのだろう、
という疑問がついてまわったのですが、
山口小夜子のメリザンドで、なにかみえてきたような・・・
人間の世界へ間違って、
あるいは此処にないどこか、
異世界・月世界のようなところから遠流された
<ひと>のような形をとったの
がメリザンドではないか、と・・・
彷徨っているメリザンドをみつけ、
結婚をしたゴローの人間・男の苦悩とは
絶望的に距離のあるところにいて、
死んでゆく。
それがメリザンドか、と。
<山口小夜子>という存在があって、
初めて具現した舞台。
結城座公演(1992年上演)
「ペレアスとメリザンド」
作:メーテルリンク
演出: 佐藤信
人形デザイン: 串田和美
出演:江戸糸あやつり人形結城座
山口小夜子
ピアノ演奏:荻野清子