「土佐源氏」坂本長利
「土佐源氏」坂本長利の舞台、
録画で観ることができました。
「光源氏」ならぬ、
土佐の老馬喰(ばくろう)の
ひとり語りによる「おなご」とのこと。
舞台には1畳ほどの大きさの台と1本の蝋燭。
水音に祭囃子が聞こえ、
御詠歌(ごえいか)が重なってくる。
薦(こも)を体にまきつけ、
襤褸をまとった盲目の老人が、
(この襤褸の衣装、古い着物を継いだ凝っていました)
おぼつかない、
震える足で台に上がり、腰をおろす。
見えない目で客席にむかい、
「あんたも酔狂者じゃのう、
わしの話を聞きに来るとは」
「土佐源氏」、
90歳になろうとする坂本長利の
演出・主演によるこの舞台は1200回をこえるという。
この老人は80歳の設定、坂本はすでにそれも超えて。
その「土佐源氏」は、
民俗学者・宮本常一の著書『忘れられた日本人』にある
元馬喰からの聞き書きした話を
坂本自身が芝居に創り、
もうすでに坂本は50年にわたって演じ続ける。
「毎回、緊張します」とインタビューで語って。
馬喰は父母もなく、ひとりで生きてきて、
同じように寂しく、哀しみをかかえたおなごとの
色話をとつとつと語る。
人間のもつ根源的なところでのやさしさが滲んで、
この爺様、そのかかわってきたおなごとの
哀切さに惹きこまれて。
生の舞台を拝見したい、と切に思います。
インタビューでの坂本長利さん、
コムデギャルソンを着こなすダンディな方♪
(インタビューの画像をお借りしました)