藤村実穂子のシャルロット、素晴らしかった!
2019年3月の初日に観劇。
その舞台、2020年3月に
<新国立劇場巣ごもりシアター>で配信されました。
そのおりのブログ、こちら。
オペラ「ウェルテル」を初日(19日)に観てきました。
メゾソプラノ・藤村美穂子さんを聴きにいったのですが、
もうもう素晴らしくて、
圧倒的なシャルロット!
藤村さんをオペラで聴くのは初めて。
いまさらですが、ディクションのなんと美しいこと。
今回の初役のシャルロットの
フランス語も明瞭で、子音そして母音、
言葉が明晰で、
それで声の響き、メロディーも際立ってきます。
声それ深みがあって、美しい。
ずっと聴いていたくなる心地よさ。
磨きぬかれたその声はしなやかな絹糸。
それが撚りあわされ、
艶をたたえてあでやかで、
芯はゆるぎなく、それでいて柔らか。
声は藤村さんから出ているのですが、
<音>のドームとなって、彼女をつつみ、
劇場いっぱいにひろがってゆく。
ウェルテルの愛の言葉をあびている
その背や横顔、感情のゆらぎと
「いえ、いけない」という理性のせめぎあい。
シャルロットを<生きている>。
シャルロットが誠実であるからこそ、
その<愛>と<現実>とのはざまで苦悩する。
三幕の「手紙の場」から
アリア「涙を流させるままに」は圧巻。
「手紙」の肺腑を抉るような切実さ、
「涙」では、こちらも滲んできて・・・
窓のむこうには雪が降っていました。
ウェルテルはアルバニアのテノール、サイミール・ピルグ。
ヴィジュアルも、背丈もあって素敵です。
なによりも詩人にみえました。
声は明るく、のびやか。
ときおり響きが引っ込んだりしましたが。
指揮はイギリス人ポール・ダニエル。
演出はニコラ・ジョエル。
ドイツの村の木木、第2幕では背景に山々、
自殺するウェルテルの部屋には書棚に本。
マスネーの音楽の流れにそった、演出でした。
ウェルテル・・・・・・・・・・サイミール・ピルグ
シャルロット・・・・・・・・・藤村実穂子
ソフィー・・・・・・・・・・・幸田浩子
アルベール・・・・・・・・・・黒田博
指揮・・・・・・・・・・・・・ポール・ダニエル
演奏・・・・・・・・・・・・・東京交響楽団