オペラ「カルメル会修道女の対話」、
F・プーランク作曲のオペラ、ご存知でしょうか?
舞台はフランス革命。
メトロポリタン歌劇場の配信で初めて観ました。
あらすじはこうです。(メトロポリタンオペラより)
8世紀末、フランス革命の激動に揺れるパリ。
ド・ラ・フォルス侯爵家の娘ブランシュは、
極端に神経質なため俗世間では生きていけないと、
コンピエーニュにあるカルメル会の修道院に入る。
だがフランス革命政府は修道院の解散と建物の売却を決め、
司祭も追放された。
修道女たちは殉教を決意するが、
怯えたブランシュは修道院から逃げ出す。
潜伏してひそかに信仰を守っていた修道女たちは
捕らえられ、死刑の宣告を受けた。
ひとりひとり断頭台に上る修道女たち。
その時、群衆のなかからブランシュが現れる・・・
幕があがると十字架を模ったデザインの舞台装置(デイヴィッド・レッパ)。
十字架が舞台いっぱいにうがたれ、
そこに全身を大地になげだした祈りの修道女たち。
修道女がひとつの十字架ともなって。
このファーストシーンは
このオペラを象徴するかと思うほど印象的。
「死」が終始、舞台を覆っている。
歌手では修道院長のカリタ・マッティラが凄まじい。
その「死」への苦悩は観ているものの臓腑を
鷲づかみにするほどに凄惨。
もう歌や演技の範疇を越えている!
ブランシュのイザベル・レナードは神経の繊細なこと。
クライマックスは修道女たちの殉教。
群集が居並ぶなかをひとり一人、
聖歌をうたいながら舞台奥に向かって行き、
姿を消すと、その度ごとにギロチンの刃が
落下する轟音。
なんども繰り返される不気味な響き、
耳について離れない。
緊迫感に満ち満ちた舞台、
こんなにも突き刺さるオペラは初めて。
それがオペラ「カルメル会修道女の対話」。
プーランクの曲、
ヤニックの指揮、
メトロポリタンオーケストラのドラマティックなこと!!
ジョン・デクスターの演出、
ヤニック・ネゼ=セガンの指揮。
イザベル・レナード(ブランシェ)、
カリタ・マッティラ(修道院長)、
エイドリアン・ピエチョンカ(新・修道院長)、
カレン・カーギル(マリー修道女長)、
エリン・モーリー(コンスタンス)、
ジャン=フランソワ・ラボワント(ド・ラ・フォルス侯爵)他。