東山魁夷大回顧展、
2018年のことでした。
東山魁夷(1908-99年)の大回顧展を
新国立美術館で観てきました。
今年生誕110年になります。
1章 国民的風景画家
2章 北欧を描く
3章 古都を描く・京都
(京洛四季のスケッチ)
4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア
5章 唐招提寺御影堂障壁画
間奏 白い馬の見える風景
6章 心を写す風景画
生誕110年にあたる今年。
「残照」1947年、「道」などの初期からの年代順に
ずらりと大作が並んでいます。
雑誌や画像で知っている、どこかで観ている作品群。
その情感にあふれた、なによりも静謐な画。
色彩の美しいこと。
観ているものの内奥まで、静かにしずかに入ってきます。
魁夷といえば「青」。
青の世界に現れる「白い馬」、幻想的で、
眼に見えないひとのもつ精緻なこころのあるものが
具現化したような、その白い馬。
そのなかでも「白馬の森」に惹かれました。
唐招提寺御影堂の障壁画、
圧倒的な迫力をもって押し寄せてきます。
「濤声」は、いままさに怒濤に身を置いているかのよう。
「山雲」の室に入ると、「山」の大気の冷たさにハッとし、
水墨画の深深とした山山に心象が息づいて。
この障壁画、じっと見続けたというより、
いまここで波に洗われ、
奥深い山にたたずんでいる・・・
「桂林月夜」「黄山月夜」「黄山雨過」「黄山暁雲」
「揚州薫風」「桂林月宵」に魅入られてしまった。
この障壁画を含み約70点。
12月3日(月)まで。
◆画像はこちらから
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◆新国立美術館 ホームページ
東山の生誕110周年を記念する本展覧会は、
東京では10年ぶりとなる大規模な回顧展です。
横浜に生まれ、東京美術学校を卒業した東山は、
昭和8年(1933年)にドイツ留学を果たし、
後の画業につながる大きな一歩を踏み出しました。
しかしその後、太平洋戦争に召集され、
終戦前後に相次いで肉親を失うなど、
苦難の時代を過ごしました。
どん底にあった東山に活路を与えたのは、
自然が発する生命の輝きでした。
昭和22年(1947年)に日展で特選を受賞した《残照》の、
日没の光に照らされて輝く山岳風景には、
当時の東山の心情が色濃く反映しています。
東山の風景画の大きな特色は、
初期の代表作《道》(1950年)が早くも示したように、
平明な構図と澄んだ色彩にあります。
日本のみならず、ヨーロッパを旅して研鑽を積んだ東山は、
装飾性を帯びた構図においても自然らしさを失わず、
青が印象的な清涼な色彩の力も駆使し、
見る者の感情とも響きあう独自の心象風景を探求し続けました。
本展覧会では、完成までに10年の歳月を費やした、
東山芸術の集大成とも言える唐招提寺御影堂の障壁画を
特別に再現展示します。
20世紀とともに生きた東山の創作の全貌を、
壮大な障壁画を含む約70件の名品によってご堪能ください。