二期会オペラ、プッチーニ三部作
「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」、
この上演2年前でしたが、
もうはるか昔のような・・・
ブログを再掲いたします。
◆二期会オペラ
「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」、
プッチーニ三部作を初日9月6日(木)に
新国立劇場オペラパレスで観ました。
デンマーク王立劇場とアン・デア・ウィーンとの提携公演。
ダミアーノ・ミキエレット演出が傑出していました。
3つ異なったオペラを一晩で上演するのでなく、
ひとつの芯をもったドラマとして打ち出していること。
「外套」、このプッチーニのヴェリズモ(現実主義)、
パリの労働者たちの不穏な空気のなか
不倫の相手ルイージ・樋口達哉を
殺すミケーレ・上江隼人。
妻・ジョルジェッタ・北原留美の絶叫から、
「修道女アンジェリカ」へ。
そこで囚人のように扱われる修道女たち、
冷酷な公爵夫人・中嶋郁子は
未婚で生んだ「息子が死んだ」と知らせるが、
この演出では息子の死に生きるよすがを
失い自死した直後、息子があらわれて・・・
美術・照明も素晴らしい。
「外套」の錆のついたコンテナを積上げ、
そこに浮かび上がる<影>が人物たちの
心理のゆらぎのよう。
「ジャンニ・スキッキ」の豪華な居間。
遺産モンダイのドタバタのあと、
装置を展開させると、
コンテナに替わるのには「アッ」と驚愕。
歌手たちも大健闘、歌、演技ともに緊密な舞台に。
ベルトラン・ド・ビリーの指揮、
東京フィルハーモニーに拍手。
熱っぽい上演が続いたオペラ・パレス。
人間のもつ一面の陽、そのうらにある影、
そんな人間像をくっきりと打ち出したオペラ。
プッチーニの「三部作」を
こんなに面白く観たのは初めてのこと。