遠田潤子『雨の中の涙のように』
待望の新刊は連作短編です!
この作品では、
一編ごとに自身の過去に縛られて、
屈託や苦悩をかかえて、生きがたい、
それぞれの「主人公」が
<堀尾葉介>というスター、
輝かしく、
しかもだれでもが好意をよせるような人物と
出会い、それが各章の「主人公」の心を揺さぶり、
人生すらも変えてゆく。
この「光」そのものである<堀尾葉介>、
その葉介の<光>そのもののような存在の
測り知れない<闇>。
最終章でカチッとピースがはまって、
いままでの各章が、
<堀尾葉介>が、
すっくと立ちあがってきます。
どうぞ、お読みになって、その醍醐味を味わってください。
装画(写真ですが)、
雨のしずくがうつくしい。
題字の三行の配置、
「雨」や「涙」の活字が雨に滲んでいます。
装幀は鈴木久美。
目次
第一章 垣見五郎兵衛の握手会
第二章 だし巻きとマックィーンのアランセーター
第三章 ひょうたん池のレッド・オクトーバー
第四章 レプリカントとよもぎのお守り
第五章 真空管と女王陛下のカーボーイ
第六章 炭焼き男とシャワーカーテンリング
第七章 ジャック ダニエルと春の舟
最終章 美しい人生
遠田/潤子
1966年大阪府生まれ。
関西大学文学部独逸文学科卒。
2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。
’12年『アンチェルの蝶』が第15回大藪春彦賞候補に。
’14年刊行の『雪の鉄樹』が文庫化され、
’16年の「本の雑誌が選ぶ文庫ベスト10第1位」に選ばれる。
’17年に『オブリヴィオン』が「本の雑誌2017年度ベスト10」第1位、
『冬雷』が第1回未来屋小説大賞受賞
この4月刊行の大河小説「銀花の蔵」が直木賞候補。