三島由紀夫『サド侯爵夫人』 本の紹介、4日目です。 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三島由紀夫の作品、

 

どれと決めがたいのですが、

戯曲『サド侯爵夫人』を。

全3幕。


無垢と怪物性、残酷と優しさをもつ

サド侯爵の出獄を、

 

と20年間戦い続けた

貞淑な妻・ルネ夫人。

が、フランス革命の後、離別する。

「この真実を、謎を、論理的解明を」と三島は言う。


サド夫人・ルネは貞淑を、

夫人の母親モントルイユ夫人は法・社会・道徳を、

シミアーヌ夫人は美徳を、

サン・フォン夫人は悪徳を、

ルネの妹アンヌは無邪気と無節操を、

召使シャルロットは民衆を。


舞台にはこの6人の女たちが登場し、

磨き抜かれた言葉、

 

セリフが激突して、


イデエを、ドラマを構築してゆく。

劇的な緊迫感、圧倒的な朗読劇です。


日本国内のみならず海外でも上演され続け、

英訳はドナルド・キーン、

仏訳はマンディアルグ。


昭和40年度芸術祭賞演劇部門賞受賞作品。

三島の最高傑作というだけでなく、

「戦後演劇史上最高傑作の戯曲」と評価されている由。


河出書房新社 1965年刊。


 序:澁澤龍彦


 跋:三島由紀夫



箱入りなので、経年の焼けは箱だけで、

ロココ調の装幀の本はうつくしいまま♪
 

劇場ではルネを松村英子、小川真由美、玉三郎で。

サン・フォン夫人の楠侑子、

モントルイユ夫人の南美江が忘れられません。

フランスのルノー・バロー劇団の来日公演、

フランス語での『サド侯爵夫人』を

草月会館で観たことも印象的。