関容子『新しい勘三郎 楽屋の顔』 文芸春秋社 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関容子『新しい勘三郎』です。

好きな本ですので、ここにもう一度。


『新しい勘三郎 楽屋の顔』

 

関容子・文

 

写真・下村 誠


 
関容子さんのやわらかでいて、

勘三郎をあますところなく語り、

演目や役についていざなう

 

その文章は逸品です。


「天性の愛嬌と可愛らしは天下一品」の藤娘から、

汚した爺の平作、

 

岩藤のなんて怖いこと。

 

同じ役者かと、しみじみと見てしまう。

まさに現代の「兼る」役者勘三郎。


<勘九郎から勘三郎へ。

十八代目襲名を記念して、中村屋の御贔屓様に、

見たくても見られない楽屋の顔を、

文と写真で完全再現、ここにお届け申し候>とあるように、

顔をつくっている勘三郎、

衣装の着付けなど、まさに密着、

よくここまで撮ったというショットが満載。


顔、鬘、衣装をつけた立ち姿はすでに役そのもの。

楽屋での勘三郎のあらゆる角度からの写真は

何度見ても見飽きない。


驚いたのは「これを勘三郎が許可した」というある一葉。

「お辰」の顔をつくり、鬘もつけているが、

衣装はまだで胸乳もあらわ。

ゆらりと妖しい。


「歌舞伎」の女形は、

そう、両性具有なのだと再認識した一枚。


本のページをめくりながら、

ああ、勘三郎をもう一度観たい!