関容子『新しい勘三郎』です。
好きな本ですので、ここにもう一度。
『新しい勘三郎 楽屋の顔』
関容子・文
写真・下村 誠
関容子さんのやわらかでいて、
勘三郎をあますところなく語り、
演目や役についていざなう
その文章は逸品です。
「天性の愛嬌と可愛らしは天下一品」の藤娘から、
汚した爺の平作、
岩藤のなんて怖いこと。
同じ役者かと、しみじみと見てしまう。
まさに現代の「兼る」役者勘三郎。
<勘九郎から勘三郎へ。
十八代目襲名を記念して、中村屋の御贔屓様に、
見たくても見られない楽屋の顔を、
文と写真で完全再現、ここにお届け申し候>とあるように、
顔をつくっている勘三郎、
衣装の着付けなど、まさに密着、
よくここまで撮ったというショットが満載。
顔、鬘、衣装をつけた立ち姿はすでに役そのもの。
楽屋での勘三郎のあらゆる角度からの写真は
何度見ても見飽きない。
驚いたのは「これを勘三郎が許可した」というある一葉。
「お辰」の顔をつくり、鬘もつけているが、
衣装はまだで胸乳もあらわ。
ゆらりと妖しい。
「歌舞伎」の女形は、
そう、両性具有なのだと再認識した一枚。
本のページをめくりながら、
ああ、勘三郎をもう一度観たい!