ダルトン・ボールドウィン先生の公開レッスンで、
かつてのボールドウィン先生のことが思い出されました。
日仏歌曲研修所(2年間の研修)があって、
当時フランス歌曲のオーソリティーの先生方が講師。
そこで毎週日本歌曲1曲、
フランス歌曲1曲のレッスンがあり、
他に文学や美術の講座がひらかれていました。
そこにボールドウィン先生が前日リサイタルをされた
美しいソプラノ ローズマリー・ランドリーさんとともに登場。
そのピアノを息遣いが聞えるほどの距離で
聴くことができたのは忘れられません。
声楽の師 滝沢三重子先生と
数回リサイタルをボールドウィン先生とご一緒されています。
フランス歌曲の専門家として滝沢門をたたいたのですが、
「(専門は)現代ものよ」とさらりと言われました。
「現代(いま)に生きていて、
その時代のものをやらないでどうするの」、と。
その言葉どおり、リサイタルでの曲は意欲にみちたもの。
世界初演をずいぶん聴かせていただきました。
ピアノ、ダルトン・ボールドウィン(世界的な歌曲の伴奏者)
との相性がよかったのか、
後年はよく組んでリサイタルを。
そのサントリー・ブルーローズでの会で、
新曲だったため眼鏡をかけ
楽譜を見るおつもりだったのが、
楽屋に置いたまま。
で、誰が取りに行ったかというとかのボールドウィン。
ナイトのようにうやうやしく眼鏡をささげて。
「あのボールドウィンをパシリに使うのは
うちの先生ぐらい(笑)」と。
ボールドウィン先生の息の長い音楽活動を
まのあたりにして、じつに刺激と充実した時間でした。
またの機会を愉しみに!