リムスキー・コルサコフ作曲、
オペラ「皇帝の花嫁」(全4幕)を録画で観ました。
オペラの名前は知っていましたが、観るのは初めて。
2018年11月、ボリショイ劇場での公演。
ロシア作品をロシアを代表する歌劇場で、
歌手もすべてロシア人。
演出はロシア生まれイスラエル在住の
女性演出家ユリヤ・ペヴズネル。
音楽の流れを尊重したオーソドックスな舞台。
美術・衣装もじつに重厚で豪華。
時代考証(1572年秋)もきっちりしたもの、なのでしょうか。
歌手も<声>が素晴らしい。
タイトル・ロールのマルファ:オリガ・セリヴェルストワは
可憐で楚々とした佇まい。
ラストの<狂気>の傷ましいこと
(つい「ルチア」を思ってしまいましたが、
音楽は「ルチア」のほうが迫ってきます)。
メゾソプラノのリュバーシャ:アグンダ・クラエワが
このオペラでは輝いていました。
その深深とした<声>、
その<歌唱>
攫われて来たにもかかわらず、
ひたすらグリャズノイ:エリチン・アジゾフを
愛し続け、殺される。
スラブ系の女声(メゾソプラノ、アルト)、
男声(バリトン、バス)などの
重厚な、深い味わいは独特のものがあります。
グリャズノイのエリチン・アジゾフもまた、そのひとり。
ルイコフ:イリヤ・セリヴァノフのテノール。
薬(毒薬や媚薬も)調合する怪しい医者を
ボメーリイ:ロマン・ムラヴィツキーのテノールが、
なんともいえない微妙なというか、ビミョーな声。
古典的というか、伝統的な舞台でした。
ロシアでは初演(1899年)からの人気演目だそうで、
それぞれのアリアではさかんにブラボーがかかっていました。
<出 演>
ソバーキン (ノブゴロドの商人):スタニスラフ・トゥロフィモフ [Stanislav Trofimov]
マルファ (ソバーキンの娘):オリガ・セリヴェルストワ [Olga Seliverstova]
グリゴーリイ・グリャズノイ (親衛隊員):エリチン・アジゾフ [Elchin Azizov]
マリュータ (親衛隊員):ヴャチェスラフ・ポチャプスキー [Vyacheslav Pochapsky]
イワン・ルイコフ (マルファの婚約者):イリヤ・セリヴァノフ [Ilya Selivanov]
リュバーシャ (グリャズノイの愛人):アグンダ・クラエワ [Agunda Kulaeva]
ボメーリイ (医者):ロマン・ムラヴィツキー [Roman Muravitsky]
ドゥニャーシャ (マルファの友人):アンナ・ボンダレフスカヤ [Anna Bondarevskaya]
サブローヴァ (ドゥニャーシャの母):イリーナ・ルブツォワ [Irina Rubtsova]
ペトローヴナ (家政婦):アンナ・マツェイ [Anna Matsey]
<合 唱> ボリショイ劇場合唱団
<管弦楽> ボリショイ劇場管弦楽団
<指 揮> トゥガン・ソヒエフ [Tugan Sokhiev]
<演 出> ユリヤ・ペヴズネル [Julia Pevzner]