『月に吠える』の頃の朔太郎
「感泣亭秋報 十二」への拙文です。
感泣亭通信のコーナーなので<手紙>として書いています。
萩原朔太郎の「盆景」
山本 掌
『感泣亭秋報 十一』ご恵与ありがとうございました。
御礼を申し上げます。
毎号ごとにページが増え、
むろんのこと誌面の充実ぶり、
この号の特集は『四季』の若き詩人たち。
戦前の第二次『四季』に集う青年詩人、村中
能美九末夫、日塔聰の四人の、
お名前そのものも詩的。
近藤晴彦氏『未刊ソネット』の成立事情についての稿。
圧巻なのは、第六詩集『風毛と雨血』
渡邊啓史による論考「精神の振幅」でした。
詩が立ち上がってきました。
かつて萩原朔太郎が「四季」同人だったのは第二期でしょうか。
春夏すぎて手は琥珀 は水盤にぬれ
瞳(め)は水盤にぬれ
石はらんすゐ、
いちいちに愁ひをくんず、
みよ山水のふかまに、
ほそき瀧ながれ、
瀧ながれ、
ひややかに魚介はしづむ。
朔太郎も盆景に惹かれたのでしょうか。
ひりひりと感覚が、
ひんやりとしずかな佇まい。
<盆
この「
「らんすゐ」は正孝氏の父上・
「譚水」のことかとも思ったり。
ご存知でしたら、
その朔太郎の「月に吠える」展が
萩原朔太郎記念 前橋文学館で催されています。
お時間があうようでしたら、
どうぞお元気で、ご活躍を。
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