小説家皆川博子の最新作『U』文藝春秋。
作品ごとにあらたな世界を提示し続ける
今回の舞台は1613年、オスマン帝国。
そしてもうひとつの物語は1915年、ドイツ。
第一次世界大戦。
その緻密な描写、
ただならぬ筆力で構築される物語の圧倒的なこと。
ラスト、この二つの物語が重なり、圧巻。
装画:秋屋蜻一
装幀:柳川貴代
物語を飾る造本、うつくしい。
帯文をこちらに。
イギリスを中心とする連合国に追い詰められたドイツ帝国海軍は、
Uボートに捕虜救出作戦を命じた。
敵の機雷網や爆雷を潜り抜け、決死の作戦を完遂できるか。
英仏海峡を越える任務に命を懸けた兵士たちの矜持。
1613年、オスマン帝国。中世ヨーロッパ―。
最後の輝きを見せるオスマン帝国で、
豪華絢爛な宮廷生活をおくる王に、捕らわれた少年。
母国語を奪われ、イスラム教徒へと強制改宗させられながらも、
遠き故郷への帰還をあきらめない少年兵の運命。
滅びゆくオスマン帝国と、黄昏のドイツ帝国Uボート。
“数奇な運命”に翻弄される若者たちの物語。