笈田ヨシ演出による「蝶々夫人」を録画で観る。
これは2月18日、東京藝術劇場での公演。
生の舞台を高崎で観ているが、
表情・演技などじっくり観られるのが、うれしい。
コンサート会場でのオペラなので、
美術など限られた空間を
襖など可動できるようになっていて、
黒子が務め、スムーズな転換。
ことに印象的なのが、
二幕の蝶々夫人のアリア「ある晴れた日」。
結婚をしたものの、
キリスト教に改宗したことにより親類とも義絶。
帰ってしまったピンカートンを待つ日日。
経済的にも逼迫をし、売り食いの生活。
蝶々夫人、スズキともにもんぺ。
新聞紙を貼った壁。
あの「愛」は、あの「日日は・・・」との悔恨というより、
すでに「帰っては来ない<愛>」、
みずから選んだものを噛みしめ、
そしてそれが<無>と化していることを知って、
なおかつひとすじの糸をたぐるように、歌う。
そんな「ある晴れた日に」。
絶望の淵でのこのアリア、
このような歌唱は聴いたことがない。
蝶々夫人:中嶋彰子のみごとな造形。
スズキ:島木弥生、現実を見据えたまなざし、
かぎりなく蝶々さんによりそう。
シャープレス: ピーター・サヴィッジ のにじむ苦渋。
笈田ヨシの演出「蝶々夫人」は素晴らしい。
「蝶々さん」像を創りだした。
指揮はミヒャエル・バルケ
読売交響楽団による管弦楽。
音が厚い。
2月4日「蝶々夫人」のブログ
http://ameblo.jp/bashouza/entry-12244705727.html
◆演出:笈田ヨシ
◆蝶々夫人: 中嶋 彰子
ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ
シャープレス: ピーター・サヴィッジ
スズキ: 鳥木 弥生
ゴロー: 晴 雅彦
ケイト・ピンカートン: サラ・マクドナルド
◆指揮:ミヒャエル・バルケ
管弦楽:読売交響楽団
合 唱:東京音大
助演:ダンサー 松本響子
◆舞台美術:トム・シェンク
衣裳:アントワーヌ・クルック
照明:ルッツ・デッペ