4月15日に池袋芸術劇場での
カンブルラン指揮の読売交響楽団を聴く。
土曜の6時始まりで、所用があって、
一曲目のメシアン「忘れられた捧げ物」はドアの外。
ドビュッシー「聖セバスティアンの殉教 交響的断章」
セバスティアヌスというと三島由紀夫『仮面の告白』、
自身による写真などがすぐにイメージされる。
この音楽もなんとも神秘的な、耽美的な響き。
ファンファーレ
Ⅰ 百合の園
Ⅱ 法悦と踊りと第1幕の終曲
Ⅲ 受難
Ⅳ 良き羊飼いキリスト
組曲による演奏。
金管での第三幕のファンファーレが最初に置かれ、
ホールに響きわたる。
組曲に入って第3曲は受難で、
矢が突き刺さる場面の衝撃。
バルトーク「青ひげ公の城」演奏会形式。
実演で聴くのは初めて。
あまり演奏されないのは台本がハンガリー語のためか、と。
ユディットはイリス・フェルミリオン(メゾソプラノ)、
青ひげがバリント・ザボ(バス)。
この声種の組み合わせもめずらしい。
今回はプロローグの語りなく、
ユディットと青ひげが城に入るところから。
ユディットは婚約者と家族と別れ、青ひげと婚姻。
その城の7つの扉を開けることを、青ひげに乞う。
「わたしはあなたを愛しているから」、と。
それぞれ部屋によって、
オーケストラの色彩が変化がじつに見事。
血のモティーフの不気味なこと。
ユディットが第1の拷問部屋の扉を開けた強い響き。
第2の武器庫のトランペット。
第3から第5までは明るい色彩。
その底にある不気味さ、血のしたたりを秘めて。
第5の領地は驚愕する。
バンダ(トランペット4、トロンボーン4)の輝かしい金管、
そこにオルガンの重厚な音。
テンパニーが二人羽織のように二人でたたく(初めて見た)。
なんとも壮大な景。
ユディット「あなたの領地は美しく、大きい」と歌う。
「残りの扉は開けずにおこう」と青ひげ。
ユディットは残る2つの扉も開ける。
第6の涙の湖。陰々とした音楽に戻り、
第7の青ひげの先妻たちの部屋。
「夜明け」、「真昼」、「夕暮れ」、
ユディットは王冠と豪奢な衣装を着け「真夜中」となる。
象徴的と言っていいのか、
「夜」を書き続けたバルトークを聴いた一夜だった。
カランブラと読響は圧巻。
オーケストラの色彩豊かな、そして分厚い響きのなか、
ユディットのフェルミリオンの中音、低音の充実していること。
青ひげのザボは全曲暗譜し、ゆるぎない。
「永遠に夜夜、続け」、「夜」と青ひげがうたい、
オーケストラが最後の音をモレンドで納めたとき、
ホールに<夜>がおりてきた。