｢月球儀」は俳句を支柱とした山本掌の個人誌。
昨日の俳句
＜展翅せよその子十六うすまぶた＞
俳句から詩にしたのはこの誌に載せたもの。
ひさしぶりに「月球儀」のことなどをブログに。
現在は｢月球儀」のタイトルにしているが
「UNTITLE」として船出をし、創刊号、二号は二人誌。
この画像は２号で、ここから｢月球儀」に。
まだ題字が決まっていない、レアな(？)表紙。
装画は創刊号と同じ多胡宏｢月光に潜む」。
◆創刊号の紹介をこのように。
秋、創刊の「UNTITLE」アンタイトル。
俳句を核として、詩、評論、脚本をいれる。
むろん雑誌を創るのも初めてのこと。
編集らしきことやってしまった!?
これも＜無知の知＞ならぬ、無知のゆえか。
詩人の清水哲男氏の句評、
文芸評論家の黒古一夫氏の句集評もお願いできた。
わたしの試みとしては＜俳句＞から
インスパイアーされ＜詩＞にしたこと。
このところ試行錯誤しながら舞台作品となるように
創っている＜うたい語る「おくのほそ道」＞の脚本を載せた。
これは松尾芭蕉の「おくのほそ道」の紀行文を
原文の＜語り＞と俳句を＜うた＞にし、
ピアノで伴奏や叙景、などをつづるもの。
「おくのほそ道」はアナウンサーや俳優の朗読によるもの、
あるいは歌曲・音楽作品では俳句のみをうたにし
上演などしているのはあるが、
このように紀行文を語り、
俳句をうたうという「おくのほそ道」は
みかけないのではないか、と思う。
今回は旅立ちから日光、遊行柳を通り最上川までを。
俳句の曲はいまあるものであえば取り入れ、
曲を新たに作曲家･野澤美香に
書き下ろしてもらっている。
＜俳句＞という定型は朗誦、朗詠に
適さない形態だと思える。
あえて取り組むのは「書くこと」、「うたうこと」に
手をそめているものとして、
なにか＜創る＞ことができないかという思いに他ならない。
その語りと作曲家にもそれぞれの立場から発言してもらった。
作曲家・野澤美香は連句のいっしょにした連中でもあり、
言葉への感覚が確か。
語りは芝居から＜ひとり語り＞となり、
古典から近代まで広いレパートリーをもち、
このところは｢近松」の世話物にエネルギーをそそぐ古屋和子。
近松の演出は能楽師観世榮夫。
特集の＜言葉から音へ＞へでは上記のものの他に
「萩原朔太郎の音楽」を初代萩原朔太郎・前橋文学館の館長の
加藤鶴男氏に寄稿していただいた。
俳句は新作五十句。
誌の表紙は多胡宏氏のメゾチントの作品で飾った。
個展で拝見し、ひとめで気に入ったもの。
題は「月光に潜む」。
しらじらとした月光のもと少年がシャツをかかげ、
口元はかくれ、
鋭利な＜眼＞がわずかにのぞいている。
そのしたには邪悪そうな雄鶏と
くゆっている蝋燭がおかれ、
画面の多くを葉がつやつやと繁茂している。