委嘱作品「『梁塵秘抄』より 声、尺八、二十弦琴のための」は
尺八奏者であり作曲家である関一郎氏に
委嘱した作品。
『梁塵秘抄』より選び、作曲した曲。
現代の今様(いまよう)をつくりたくて、お願いした。
<今様>はあの後白河法皇も
咽喉から血を吐くような鍛錬をし、
上手い歌い手がいると聞けば、
遊女であっても<師>として御所に迎えたという。
催馬楽などは宮内庁の楽部に伝承されているが、
<今様>は俗曲なので「音」としては伝わっていない。
詞は『梁塵秘抄』として纏められている。
声楽の声は音域が広いので、
琴も一般的な十三弦ではなく、二十弦琴に。
初演は2007年12月13日(木)に
高崎市文化会館大ホールにおいて上演。
メゾソプラノ:山本 掌
尺八:関一郎
二十絃筝:藤川いづみ
1 嵯峨野の興宴は
鵜舟 筏師 流れ紅葉
山陰ひびかす筝の琴
浄土の遊びに異ならず
2 心凄きもの
夜道 船道 旅の空 旅の宿
木闇き山寺の経の声
思ふや仲らひの 飽かで退く
3 茨小木の下にこそ
鼬が笛吹き猿舞でかい舞で
稲子麿賞で拍子付く
さてきりぎりすは鉦鼓の鉦鼓のよき上手
- ◆二十弦琴
1969年(昭和44年)、地歌箏曲演奏家・野坂恵子に
作曲家・三木稔が協力して、生まれた。
2年後の1971年にその絃数は21絃に定着したが、
いまだに二十絃箏と称されている。
中国をはじめ、アジア各国の箏が期せずして
21絃を主流にしているため、
作品の互換性からいっても - 今後この絃数を想定した創作が
国際的に基本になると思われる。
全長180cm前後、最大幅38cmで主に現代音楽に使用される。
従来の十三絃箏との大きな違いは、
「七音階標準」「音量のアップ」「音色の変化」など。