笈田ヨシ演出 オペラ「蝶々夫人」 @高崎音楽センター | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

笈田ヨシ、演出のオペラ「蝶々夫人」を

高崎音楽センターで観る。


笈田ヨシはピ-ター・ブルックのもとでの俳優、

 

現在公開中の「沈黙」など国際的に活躍。

オペラの演出も多数手懸け、日本では初めての演出。


素晴らしい、熱気のこもった公演。

笈田「蝶々夫人」、

蝶々さんの「愛の悲劇」でなく、

「富める国と貧しい国の間にある問題を語った作品。

 

必死に自分の人生を掴みとろうとしたひとりの女性の、

 

非常に苦い、苦しい、辛い物語です」と言う。



ピンカートンはまさに「富める強国の身勝手」な人物。

このピンカートン: ロレンツォ・デカーロ 、

ガタイが大きく(197センチとか!?)、まさにそのもの。


第二幕では3年経た、

貧しい(野良着のような衣装)家で、

「ある晴れた日」は歌われる。

蝶々さんは信じている、と歌うが・・・


蝶々さんの中嶋彰子、

スピントのソプラノがくっきりとドラマを刻む。

スズキの鳥木弥生、情がありながらも、

事実を見つめている、蝶々さんの同志よう。

深い声が凛として、立ち姿も美しい。


初演版のようにケイトと直接会話をかわす場も。

シャープレスの ピーター・サヴィッジ、

アメリカの良心といった知的なバリトン。

ゴローの晴 雅彦、

いかにもぬけめのない女衒といったていで、

 

実に達者。



今回の公演、オーケストラの群馬交響楽団、

ミヒャエル・バルケの指揮で、熱い渦となって。


第一幕の愛の二重唱の夜の青い闇に、

灯される行灯がうつくしい。

本火がたかれて、情緒を高揚させる。

群馬バージョンでのサプライズというのはこのこと?


カーテンコールは満員の観客の

拍手がなりやまず・・・




東京公演が池袋藝術劇場で2月18、19日に

あるので、時間があるようでしたら、どうぞ。

 

 

 

結婚式(金沢新聞より)




◆演出:笈田ヨシ

◆蝶々夫人: 中嶋 彰子

ピンカートン:ロレンツォ・デカーロ

シャープレス ピーター・サヴィッジ

スズキ: 鳥木 弥生

ゴロー: 晴 雅彦

ケイト・ピンカートン: サラ・マクドナルド


◆指揮:ミヒャエル・バルケ

管弦楽:群馬交響楽団

合 唱:高崎オペラ合唱団

助演:ダンサー 松本響子


◆舞台美術:トム・シェンク

   衣裳:アントワーヌ・クルック

照明:ルッツ・デッペ

音響:石丸耕一