司修「萩原朔太郎<帰郷>」展示! @群馬県立近代美術館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

司修作品、萩原朔太郎の「帰郷」より、

インスパイアーされた絵画。

思いがけず、出合った!

(美術館のホームページにもなかったような・・・)


「帰郷」は妻に出奔され、

ふたりの子をつれ前橋に帰る、その詩。


ひとつの詩に一枚の画ではなく、

詩の一行にそれと照応(対峙)する画が描かれている。

たとえば<わが故郷に帰れる日>、

あるいは<母なき子供等は眠り泣き>、

<火焔は平野を明るくせり>

そして<人の憤怒を烈しくせり>、などの7葉。

板に油彩。


他に「広瀬川」<われの生涯(らいふ)を釣らんとして>、

「大渡橋」、「新前橋駅」など17点。

 

 

 

 

 

 

 

これらの作品は

『エレナ! 萩原朔太郎<郷土望景詩>幻想』

1993年刊 小沢書店に載る。

原画を見るのは初めて!

 

 

 

 




大江健三郎「同時代ゲーム」が大作。

その装丁した本も展示されて。


朔太郎、司修のファンの方はぜひ!



                   3月20日(日)まで。
 

 

 

      歸郷

                  萩原朔太郎

昭和四年の冬、妻と離別し二兒を抱へて故郷に歸る


わが故郷に歸れる日

汽車は烈風の中を突き行けり。

ひとり車窓に目醒むれば

汽笛は闇に吠え叫び

火焔(ほのほ)は平野を明るくせり。

まだ上州の山は見えずや。

夜汽車の仄暗き車燈の影に

母なき子供等は眠り泣き

ひそかに皆わが憂愁を探さぐれるなり。

鳴呼また都を逃れ來て

何所いづこの家郷に行かむとするぞ。

過去は寂寥の谷に連なり

未來は絶望の岸に向へり。

砂礫されきのごとき人生かな!

われ既に勇氣おとろへ

暗憺として長とこしなへに生きるに倦みたり。

いかんぞ故郷に獨り歸り

さびしくまた利根川の岸に立たんや。

汽車は曠野を走り行き

自然の荒寥たる意志の彼岸に

人の憤怒(いきどほり)を烈しくせり。

                     (青空文庫より)

 

◆<現代の美術 Ⅳ> (コレクション展示作品目録)
  http://mmag.pref.gunma.jp/permanent/list/room3.pdf

 

  司修作品はこの22~38まで