(NHK-BSより 左よりベルタ、伯爵、ロジーナ、フィガロ、バジーリオ)
グラインドボーン音楽祭は、1934年に
英国の資産家ジョン・クリスティと
その妻のソプラノ歌手のオードリー・マイルドメイによって
創設されたオペラ音楽祭。
モーツアルトをメインプログラムされ、
開場はクリスティ家の邸宅=グラインドボーン・ハウス。
2016年今年は、初演から200年を迎えた
ロッシーニの「セビリアの理髪師」を
イギリスの女優で、演出家のアナベル・アーデンによる演出で上演。
ロッシーニの明るく、楽しい舞台が繰りひろげられる。
美術、衣装も前衛的でなく、なるほどと納得させる。
メゾ・ソプラノの役のロジーナを歌うのは、
ソプラノのダニエル・ドゥ・ニース。
華やかで、迫力のある美人、高音のコロラチューラが
舞台を縦横に彩る。
フィガロ(理髪師)をビヨルン・ビュルガーのしたたかさ、
アルマヴィーヴァ伯爵役テイラー・ステイトンの、
軽やか、というより軽薄といった伯爵が好ましい。
フィガロ、伯爵ともに若若しく、スリムな体形。
見事なのがバルトロ(医師、ロジーナの後見人)
のアレッサンドロ・コルベルリ、演技も歌もじつに達者。
若い女&財産を恋した高年の悲哀が切ない。
女中のベルタもいい味を出していて、アリアも踊りながら。
こういう脇の歌手が舞台全体をじつに豊かにしている。
演奏は、エンリケ・マッツォーラ指揮で、
オケッピットと舞台とのやりとりも気が利いて。
オーケストラはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。
この「セビリアの理髪師」、明るく、
<生>る喜びにあふれた、
愉しめるオペラ。
◆グラインドボーン音楽祭2016
歌劇『セビリアの理髪師』ロッシーニ 作曲」(全2幕)
<出 演>
フィガロ(理髪師):ビヨルン・ビュルガー
ロジーナ(バルトロのめい):ダニエル・ドゥ・ニース
アルマヴィーヴァ伯爵:テイラー・ステイトン
バルトロ(医師、ロジーナの後見人):アレッサンドロ・コルベルリ
バジーリオ…クリストファロス・スタンボグリス、
ベルタ…ジャニス・ケリー
<合 唱>グラインドボーン合唱団
<管弦楽>ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>エンリケ・マッツォーラ
<演 出>アナベル・アーデン
収録:2016年6月17、21日 グラインドボーン音楽祭歌劇場(イギリス)