石竹
障子閉(し)めても、石竹の
花は出窻にいと赤し、
障子閉めつつ、自堕落(じだらく)に
二人(ふたり)並(なら)んで寢そべれど、
花はしみじみ、まだ赤し。
愚かなる花、小さき石竹。
◆すでに褪せてしまった恋情、
それを、まだかかえている女の
やるせない、ため息のような詩。
◆
初版『雪と花火』早稲田大学図書館 データベース
「石竹」は353ページに掲載されています。
http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko03a/bunko03a_00283/bunko03a_00283.html