朝井閑右衛門展を練馬区立美術館で観る。
朝井閑右衛門(1901~1983)の初期作品から、
晩年のあの厚塗りの薔薇や牡丹までの回顧展。
生前は個展も画集も拒否していたとかで、
今回の展覧会はひじょうに稀な機会。
若い頃練馬に住んでいたとのことでこの展覧会が企画された、と。
「丘の上」に会えた。
大きい、あまりに巨大なのに驚く。
大作とは知っていてもこれほどとは・・・
館の方にたづねると500号、263cm×338cm。
練馬のアトリエ長屋で描いた群像の大作で、
家から出すのに窓を壊し、柱を切ったとか。
春爛漫の明るいひかりの丘にピエロを中心として、
人々が配されているのだが、
楽の音も聞こえず、踊る律動もなく、そこに時が凝固したよう。
不思議な雰囲気をたたえた作品。
不意打ちのように「萩原朔太郎」が現れる。
「月に吠える」の時代の青白い、
ひりひりした神経がそのまま露出したような朔太郎像。
閑右衛門は三好達治と親しく、朔太郎に実際に会ってはいなかったが、
話しを聞いたり、資料から描いたとか。
その三好達治、そして室生犀星の肖像がある。
電線、あるいは晩年の花花、生命力がほとばしる。
迸りつつ、このしんとした静寂。
鎌倉の美術館で観た「祭」3点に再会できたのもうれしい。
閑右衛門の美意識にかなった骨董の壷や布、
たびたびモデルにした人形がならぶ。
アトリエの一部も再現されて。
11月13日(日)まで。
練馬区立美術館 ホームページ(一番下に画像)
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◆朝井閑右衛門