萩原朔太郎像も!「朝井閑右衛門展 空想の饗宴」 @練馬区立美術館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

朝井閑右衛門展を練馬区立美術館で観る。

朝井閑右衛門(1901~1983)の初期作品から、

晩年のあの厚塗りの薔薇や牡丹までの回顧展。

生前は個展も画集も拒否していたとかで、

今回の展覧会はひじょうに稀な機会。

若い頃練馬に住んでいたとのことでこの展覧会が企画された、と。


「丘の上」に会えた。

大きい、あまりに巨大なのに驚く。

大作とは知っていてもこれほどとは・・・

館の方にたづねると500号、263cm×338cm。

練馬のアトリエ長屋で描いた群像の大作で、

家から出すのに窓を壊し、柱を切ったとか。

春爛漫の明るいひかりの丘にピエロを中心として、

人々が配されているのだが、

楽の音も聞こえず、踊る律動もなく、そこに時が凝固したよう。

不思議な雰囲気をたたえた作品。


不意打ちのように「萩原朔太郎」が現れる。

「月に吠える」の時代の青白い、

ひりひりした神経がそのまま露出したような朔太郎像。

閑右衛門は三好達治と親しく、朔太郎に実際に会ってはいなかったが、

話しを聞いたり、資料から描いたとか。

その三好達治、そして室生犀星の肖像がある。


電線、あるいは晩年の花花、生命力がほとばしる。

迸りつつ、このしんとした静寂。

鎌倉の美術館で観た「祭」3点に再会できたのもうれしい。

閑右衛門の美意識にかなった骨董の壷や布、

たびたびモデルにした人形がならぶ。

アトリエの一部も再現されて。


11月13日(日)まで。


練馬区立美術館 ホームページ(一番下に画像)
  http://www.neribun.or.jp/web/01_event/d_museum.cgi?id=10327
 

 

◆朝井閑右衛門

 

洋画家。大阪生。本名は浅井実。独学で油絵を研究し、戦前は官展・光風会展に活躍、昭和11年の文展で五百号の大作「丘の上」が文部大臣賞受賞。戦後は井手宣通須田剋太らと新樹会を、鳥海青児らと国際形象展を組織する。油彩を塗り重ね、色彩豊かな独創的作風を展開、つねに画壇の第一線で活躍しながら、画集もなく、個展もほとんど開かなかった特異な野人画家として知られる。昭和58年(1983)歿、82才。