今日の兜太 @高崎兜太句会5月 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


兜太

             金子兜太 ブログより



5月の高崎兜太句会の日。

時間で、披講を始める。

兜太先生、ちょっと遅れて到着。

顔を見せおもむろに「トイレに行ってくる」。


兼題は「春光」。

選句の高得点句は8人(私も選ぶ)、

問題句としたのが1人。

   春光のどこへも行かぬ舟に乗る


句評:詩情がある。
    
   春の光のなかの心情のたゆたい。春愁をかんじる。

兜太評:現実の景でなく、幻想のなか、想像のなかととる。
     
    春の光のなかで、幻想にふけっている。
     
    「春光」という季語がこういう気分を呼びやすい。

    それほど新鮮ではない。

    この句は佳作。


ちなみに今日の句会では

「佳作」とそれより良い句を「入選」とした。

   
  廃港よ深く抱くは海霧(きり)の猫


陸前高田の友を訪いて」と前書きがあり、

選句はひとり。

兜太評:非常に感覚が効いていて、うまい。
    
     「深く抱く」、余韻がある。佳作。
    
     元句「海霧に猫」→「海霧<の>猫」とした。


 
  二月の町に拾ふ雲形定規かな

選句は2名。私もとった句。

兜太評:「二月」と「町に拾う雲形定規」がよく似合う。入選。


 
   春光やさびしき心臓犬が喰う


問題が集まった句。

評:春光にたとえている、のか?
  
  犬には「さびしき心臓」など、うまいか(笑)?
  
  心臓、犬など朔太郎を感じる。
 
兜太評:春光のなか、春光の本質にせまる。
 
    それほど重くうけとらなくていい。

     これは「や」でなく「の」、 
     
     「犬が喰う」がちょっとナルシスティック。

     「犬も喰わぬ」ではどうだ。

     直したら入選。

直した句はこちら

   春光のさびしき心臓犬も喰わぬ

ふ~む。

「犬も喰わぬ」という発想に驚く。

これは私の句。


「なんだな、<春光>と兼題をだしたが、

この季語をかえた句が多いな」と。


句会の合評でとりあげなかった句を

兜太先生、一気呵成に講評して句会終了。