海暮れて鴨の声ほのかに白し <芭蕉をうたう Ⅲ> | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



芭蕉

           松尾芭蕉:葛飾北斎(ウキペディアより)




箕作秋吉「芭蕉紀行集」の第三曲。

『野ざらし紀行』では前書きのように

「海辺に日暮して」とあって、この句が置かれる。


新潮古典集成「芭蕉文集」ではこうある。

「海原は夕暮れて一面に薄暗くなった。

その中に餌を求めて飛び立つ鴨のしわがれ声が響く。

その方を透かしてみると見ると、

なお海上に幽かな白さの漂っているのがみえる」



暮れてゆく、その薄暮の光のうつろいを積み重ね、

微光までの時間の経緯をも感知する。

そこに「鴨の声」がかすかに聞えて。

じつに印象的。


鴨の声すらほの<白く>聞える、

と、どうしても受け止めたくなる。



箕作作品の滲むようなピアノに、

メロディーラインがそっと寄り添う・・・