馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり 芭蕉 「早朝に旅立って馬上に
なお夢心地でうとうととしていたが、
はっと目がさめてみると、
有明の月は遠く山の端(は)にかかり、
ふもとの村里からは朝茶をたく煙が立ち上ってくる>
新潮古典集成『芭蕉文集』より
◆陰暦八月二十日過ぎ(太陽暦十月初旬)、
歌枕の地の景色からの句。
西行の「小夜の山中」、
あるいは杜牧の「早行」などの詩歌を追懐したといわれる。
◆「芭蕉紀行集」第二曲。
馬がぽっかぽっかと歩いているような音形から始まり、
遠くに望む月、茶の焚く煙など、
ゆったりとのどやかな曲。