野ざらしを心に風のしむ身かな <芭蕉をうたう> | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



蕪村筆 芭蕉

           「松尾芭蕉」与謝蕪村筆 (ウキペディアより)


  

  
  
 
   野ざらしを心に風のしむ身かな            芭蕉







箕作秋吉「芭蕉紀行集」の第一曲になる。


『野ざらし紀行』は芭蕉41歳~42歳の旅で

紀行文は数年かけて推敲され書かれた。


俳諧を極めるため、

「野ざらし」を覚悟の旅路の冒頭の句。

切迫し、緊張感あふれている。


新潮社古典集成「芭蕉文集」では

<野に行き倒れて髑髏(どくろ)となる覚悟で、

行脚(あんぎゃ)漂泊を魂とする独自な

俳風を建立(こんりゅう)への旅立ちの

覚悟をのほどを語るもの>


句の解釈では

<野に行き倒れて髑髏となる覚悟で、

独自の誹風を開拓する覚悟で旅立つと、

ひとしお心にしみ入るばかりに

秋風の寂寥(せきりょう)を感ずるわが身の境涯である>



箕作作品の第一曲、

前奏の風のモティーフは

終曲「旅に病んで」に現われる音形と

時空を超え、響きあうように感じられる。