「恩地孝四郎展 形はひびき、色はうたう @東京国立近代美術館 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



恩地孝四郎展ちらし




東京近代美術館で

「恩地孝四郎展」を観る。


恩地作品、

昨秋の「月映展 田中恭吉・藤森静雄・恩地幸四郎」の

印象も深く残っているところでのこの展示はうれしい。

再会できた作品もあって。


このような構成。

第一章 「月映(つくはえ)」に始る 1902-1924年

第二章 版画・都市・メディア    1924-1945年

第三章 抽象への方途       1945-1955年



萩原朔太郎『月に吠える』田中恭吉の版画による初版の装丁、

第二版では題字も恩地の手による。

黒地に白抜きの『月に吠える』が映え、

書体が瀟洒。

装丁、造本には生涯かかわっている。


朔太郎

            恩地孝四郎による「萩原朔太郎」



1943年の朔太郎のリアリスティックな肖像画

(油絵のように見えるがこれも版画)。

恩地自身による刷り、他2名による刷りの差異。

思っていたより大きい。

その版木の展示まである。


北原白秋、山田耕筰の肖像も。

この二人の組んだ楽譜の表紙も多くあり、

「小人の地獄」は真っ赤な地に白抜きの小人が描かれて、

「青蛙」では青緑と白で半々に塗られたモダンな蛙がいる。

2曲とも歌ったことがあって、

こんなすてきな楽譜がいまでもあったら、と。



戦後の抽象作品も62点、

海外の美術館からの里帰り。


この展覧会、400点もの展示の大回顧展。

(ゆっくり時間をとって、どうぞ)


2月28日(日)まで。



ちらし裏







◆近代美術館 ホームページ
 
日本における抽象美術の先駆者であり

木版画近代化の立役者でもある恩地孝四郎の、

20年ぶり3回目、当館では実に40年ぶりとなる回顧展です。


恩地は抽象美術がまだその名を持たなかった頃、

心の内側を表現することに生涯をかけた人物です。

彼の創作領域は一般に良く知られ評価の高い木版画のみならず、

油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、

果ては詩作に及ぶ広大なもので、

まるで現代のマルチクリエイターのような活躍がうかがえます。


本展では恩地の領域横断的な活動を、

版画250点を中心に過去最大規模の

出品点数約400点でご紹介いたします。


また見逃せないのは、里帰り展示される62点。

戦後、特に外国人からの評価が高かった恩地の作品は、

その多くが海を渡っていきました。

本展では海外所蔵館(大英博物館・シカゴ美術館

ボストン美術館・ホノルル美術館)の多大な協力のもと、

現存作が一点しか確認されていない作品や摺りが

最良の作品など恩地の重要作をご覧いただきます。