東京近代美術館で
「恩地孝四郎展」を観る。
恩地作品、
昨秋の「月映展 田中恭吉・藤森静雄・恩地幸四郎」の
印象も深く残っているところでのこの展示はうれしい。
再会できた作品もあって。
このような構成。
第一章 「月映(つくはえ)」に始る 1902-1924年
第二章 版画・都市・メディア 1924-1945年
第三章 抽象への方途 1945-1955年
萩原朔太郎『月に吠える』田中恭吉の版画による初版の装丁、
第二版では題字も恩地の手による。
黒地に白抜きの『月に吠える』が映え、
書体が瀟洒。
装丁、造本には生涯かかわっている。
恩地孝四郎による「萩原朔太郎」
1943年の朔太郎のリアリスティックな肖像画
(油絵のように見えるがこれも版画)。
恩地自身による刷り、他2名による刷りの差異。
思っていたより大きい。
その版木の展示まである。
北原白秋、山田耕筰の肖像も。
この二人の組んだ楽譜の表紙も多くあり、
「小人の地獄」は真っ赤な地に白抜きの小人が描かれて、
「青蛙」では青緑と白で半々に塗られたモダンな蛙がいる。
2曲とも歌ったことがあって、
こんなすてきな楽譜がいまでもあったら、と。
戦後の抽象作品も62点、
海外の美術館からの里帰り。
この展覧会、400点もの展示の大回顧展。
(ゆっくり時間をとって、どうぞ)
2月28日(日)まで。
◆近代美術館 ホームページ
日本における抽象美術の先駆者であり
木版画近代化の立役者でもある恩地孝四郎の、
20年ぶり3回目、当館では実に40年ぶりとなる回顧展です。
恩地は抽象美術がまだその名を持たなかった頃、
心の内側を表現することに生涯をかけた人物です。
彼の創作領域は一般に良く知られ評価の高い木版画のみならず、
油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、
果ては詩作に及ぶ広大なもので、
まるで現代のマルチクリエイターのような活躍がうかがえます。
本展では恩地の領域横断的な活動を、
版画250点を中心に過去最大規模の
出品点数約400点でご紹介いたします。
また見逃せないのは、里帰り展示される62点。
戦後、特に外国人からの評価が高かった恩地の作品は、
その多くが海を渡っていきました。
本展では海外所蔵館(大英博物館・シカゴ美術館
ボストン美術館・ホノルル美術館)の多大な協力のもと、
現存作が一点しか確認されていない作品や摺りが
最良の作品など恩地の重要作をご覧いただきます。