オペラ「沈黙」新国立劇場 @NHK-BS | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


オペラ「沈黙」




オペラ「沈黙」を録画で観る。


演出の宮田慶子は「演劇では台詞と台詞の行間を埋めるのが演出。
オペラでは行間は音楽で表されるので、それをヴィジュアル化する」と。

舞台には大きな十字架が楔のように突き刺さり、
回り舞台で角度をかえると難破船とも、山上ともなる。

遠藤周作の原作を村松が台本・作曲。
台詞、音程のついた台詞、歌を
それぞれのソリスト、
ひとりひとりの合唱が
自身の内奥からの声・歌・演技をして。


無調の間にある調性の「オハル」の叙情的なアリア。
高橋薫子のじつにピュアなソプラノ。

キチジロー、その弱さゆえに<転びもん>となり、
さらに裏切りを重ね、なお<神>を求める姿が哀しい。

フェレイラは黒田博。
かつて十数年、篤実な司祭であった彼が、踏み絵を踏み、
その孤絶、その絶望の果てを超えてしまった人間を歌い、演じる。
陰惨な、深い深い<闇>の声。

ロドリゴとフェレイラの対峙する場の壮絶。

牢で明日は処刑のロドリゴの聴く、
拷問の<うめき>の男声合唱の凄惨。

ロドリゴが踏み絵を踏む場では音はなく、
踏んだキリストをいだくとともに、
照明が床に十字架を描く。

下野の指揮、
東京フィルハーモニーの緻密な音。


2012年に中劇場で上演。
この時は劇場で観て、非常に感動。
   http://ameblo.jp/bashouza/entry-11170690753.html
 



  ◆歌劇「沈黙」

原作 遠藤周作
台本・作曲 松村禎三


ロドリゴ(ポルトガルの宣教師): 小餅谷哲男

フェレイラ(ロドリゴの恩師): 黒田 博

ヴァリニャーノ(マカオの教会の神父): 成田博之

キチジロー(日本人の漁師): 星野 淳

モキチ(トモギ村の信徒): 吉田浩之

オハル(モキチの恋人): 高橋薫子

おまつ: 与田朝子

少年: 山下牧子

じさま: 大久保眞

老人: 大久保光哉

チョウキチ: 加茂下稔

井上筑後守(元キリシタンの長崎奉行): 島村武男

通辞: 吉川健一

役人・番人: 峰 茂樹


<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団

<指 揮>下野竜也

<合唱>新国立劇場合唱団
<児童合唱>世田谷ジュニア合唱団
<合唱指揮>冨平恭平


<美 術>池田ともゆき

<衣 装>半田悦子

<照 明>川口雅弘

<演 出>宮田慶子

収録: 2015年6月27日、29日 新国立劇場 オペラパレス