オペラ「沈黙」 新国立劇場
「神の存在を問う、
遠藤周作の不朽の名作『沈黙』をもとに、
台本・作曲の松村禎三が13 年という歳月をかけて
完成させた珠玉のオペラ作品」と。
19日に観劇。
長崎弁のオラショの合唱から入る
一音から村松の世界へ、
「沈黙」の世界へと。
巨大な十字架がオペラを通して表象されている。
その舞台美術、照明うつくしい。
星の煌めく夜空、
夕焼け、牢の闇さえも。
細かい場面転換も、
回り舞台をじつにうまくつかい、
宮田慶子演出、
ドラマが緊迫をまし、
立ち上がってくる。
ロドリゴ・小餅谷哲男、
殉教もいとわず日本での布教をねがう
青年から、迫害に次ぐ迫害で、
みずからの破教が信徒の村人を救うという
苦悩を経てのラストの踏み絵の場まで、
すばらしい歌唱をくりひろげる。
かつての師、フェレイラ・久保和範が転び、
日本人名を名乗り、転向を勧める
二人の息詰まる場。
オハル・高橋薫子の息を引き取る間際の
アリアの清浄ひびき。
アリアが終ると拍手といった
常のオペラでないにもかかわらず、
ブラーバがかかる。
こどもたちの合唱がじつに効果的。
重い題材、
村松の音楽、
それぞれの歌手、
舞台スタッフ、
指揮の下野竜也、東京交響楽団、
感動の舞台であった。
オペラ『沈黙』
原作◇遠藤周作
台本・作曲◇松村禎三
演出◇宮田慶子
指揮◇下野竜也
キャスト◇2/15・17・19>
ロドリゴ/小餅谷哲男
フェレイラ/久保和範
ヴァリニャーノ/成田博之
キチジロー/星野 淳
モキチ/経種廉彦
オハル/高橋薫子 他
合唱/新国立劇場合唱団
管弦楽/東京交響楽団
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