萩原朔太郎「猫」をうたう @風のまち音楽祭 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



朔太郎




    
                      萩原朔太郎



まっくろけの猫が二疋、

なやましいよるの屋根のうへで、

ぴんとたてた尻尾のさきから、

糸のようなみかづきがかすんでいる。

『おわあ、こんばんは』

『おわあ、こんばんは』

『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』

『おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です』








◆萩原朔太郎(1886~1942)

第一詩集『月に吠える』より。
1917年(大正6年)刊行。

この詩集は日本の近代詩の金字塔となった。
特異な感覚の新しい口語の世界を
ひらいたと言われる。

作曲は牧野由多可。