萩原朔太郎「猫」をうたう @風のまち音楽祭 | 「月球儀」&「芭蕉座」 俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ
猫 萩原朔太郎
まっくろけの猫が二疋、
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のようなみかづきがかすんでいる。
『おわあ、こんばんは』
『おわあ、こんばんは』
『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』
『おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です』 ◆萩原朔太郎(1886~1942)
第一詩集『月に吠える』より。
1917年(大正6年)刊行。
この詩集は日本の近代詩の金字塔となった。
特異な感覚の新しい口語の世界を
ひらいたと言われる。
作曲は牧野由多可。

