「月映(つくはえ)」展 @東京ステーションギャラリー | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


月映展

               月映展



「月映(つくはえ)展」を
東京ステーションギャラリーで観た。

「月映」は大正時代の木版画・詩の雑誌 。

「月映」は、当時20代前半の美術学生だった
田中恭吉(1892~1915)、
藤森静雄(1891~1943)、
恩地孝四郎(1891~1955)、
の三人で木版画や詩をまとめた雑誌。
1914年創刊で1年ほどで終刊となる。

「月映」の紹介を中心に、
三人の出会いやそして雑誌「月映」の準備期間に制作した
3部限定の私家版「月映」が展示されている。

田中のペン画と恩地氏の木版画を挿し入れた、
萩原朔太郎氏の第一詩集『月に吠える』に関連する作品や資料など、
約300点を展示されている。


田中恭吉「冬の夕」

              田中恭吉「冬の夕」


眼を惹いたのは田中の「冬の夕」、
痛々しいほどの存在の声を殺した叫びが聞こえてくる。
モノトーンで人体の左右は沈み込むような
オリーブ色に近い金色が使われている驚き。

田中の亡くなったあと、その画をどう使うか、
朔太郎が恩地幸四郎に問い合わせの手紙。
その経年の茶色になった原稿用紙が生々しい。


恩地孝四郎「望と怖」

               恩地孝四郎「望と怖」



展覧会の構成は

I つくはえ前夜  三人の出会い、回覧雑誌「ホクト」、回覧雑誌「密室」

II 「月映」誕生  木版画にかける夢

III 「月映」出版  死によりて挙げらるる生

IV 「月映」のゆくえ  青春の記念碑



見ごたえのある木版画やペン画、
多数の資料、よくこれだけ集めた、とひたすら観る。

東京駅にかつて使われたそのままの煉瓦の壁に
これらの作品が展示されているのがじつに趣がある。

11月3日(火)まで。



藤森静雄「亡びゆく肉」

                藤森静雄「亡びゆく肉」            



◆画像はこちら (クリックすると拡大)
 http://www.cinra.net/news/20150917-tsukuhae



◆東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201509_tukuhae.html