月映展
「月映(つくはえ)展」を
東京ステーションギャラリーで観た。
「月映」は大正時代の木版画・詩の雑誌 。
「月映」は、当時20代前半の美術学生だった
田中恭吉(1892~1915)、
藤森静雄(1891~1943)、
恩地孝四郎(1891~1955)、
の三人で木版画や詩をまとめた雑誌。
1914年創刊で1年ほどで終刊となる。
「月映」の紹介を中心に、
三人の出会いやそして雑誌「月映」の準備期間に制作した
3部限定の私家版「月映」が展示されている。
田中のペン画と恩地氏の木版画を挿し入れた、
萩原朔太郎氏の第一詩集『月に吠える』に関連する作品や資料など、
約300点を展示されている。
田中恭吉「冬の夕」
眼を惹いたのは田中の「冬の夕」、
痛々しいほどの存在の声を殺した叫びが聞こえてくる。
モノトーンで人体の左右は沈み込むような
オリーブ色に近い金色が使われている驚き。
田中の亡くなったあと、その画をどう使うか、
朔太郎が恩地幸四郎に問い合わせの手紙。
その経年の茶色になった原稿用紙が生々しい。
恩地孝四郎「望と怖」
展覧会の構成は
I つくはえ前夜 三人の出会い、回覧雑誌「ホクト」、回覧雑誌「密室」
II 「月映」誕生 木版画にかける夢
III 「月映」出版 死によりて挙げらるる生
IV 「月映」のゆくえ 青春の記念碑
見ごたえのある木版画やペン画、
多数の資料、よくこれだけ集めた、とひたすら観る。
東京駅にかつて使われたそのままの煉瓦の壁に
これらの作品が展示されているのがじつに趣がある。
11月3日(火)まで。
藤森静雄「亡びゆく肉」
◆画像はこちら (クリックすると拡大)
http://www.cinra.net/news/20150917-tsukuhae
◆東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201509_tukuhae.html