オペラ「ドン・ジョバンニ」英国ロイヤルオペラ @NHKホール | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


ロイヤルオペラ




モーツァルト作曲 
オペラ「ドン・ジョバンニ」を20日、NHKホールで観た。

ドン・ジョバンニのイルデブランド・ダルルカンジェロを
聴きにいった、というべきか。

ダルカンジェロのバリトンは深く、厚い声でとても強靭。
歌舞伎でいう「ニン」があって、
こんなに色っぽい、肉食獣はいないのでは、と。
直接、皮膚感覚に、心臓に刺さってくるようなバリトン。
ソット・ヴォーチェも決まる。
こんな声で歌われたら、誰でもなびいてしまう・・・
舞台姿もさすが。

ドンナ・エルヴィーラはドンに捨てられ、
なお憎みながらも愛する女性。
メゾ・ソプラノのジョイス・ディナードがさすが素晴らしい。
二幕のアリアのなんと胸にしみることか。

ツェルリーナはユリア・レージネヴァ(ソプラノ)。
軽いスーブレットの役どころだが、
レージネヴァはもっと芯のある声で、チャーミング。

ドンナ・アンナはアルビナ・シャギムラヴァ。

女声の歌手たちの競演はまさに饗宴。


声は充分に堪能したのだが、
ホルテンの演出、従来のオペラ「ドン・ジョバンニ」ではなく
ずっと心理的に深部を造形し、
そのためのプロジェクション・マッピングが多様されている・・・


指揮のパッパーノは、
序曲から、あわあわとした音で、
曲は継ぎ目なく演奏されてゆく。
ホルテン演出では、合唱がほとんど舞台にでない。


この演出だとダルカンジェロのもつ
濃い<いのち>のほとばしりといった歌はどうなのだろうか。

「もう飛ぶまいぞこの蝶々」に合わせての
食事をする晩餐のシーンは
食べ物などまったくでない。

騎士長の「審判」のあとに、
ドンナ・アンナ、オッターヴィオ、レポレロ、
エルヴーラ、ツェルリーナ、マゼットが歌う
六重唱は影コーラスかと思ったくらい。
それぞれが舞台の上手と下手に分かれて歌っていた。

<地獄落ち>のドン・ジョヴァンニだけが舞台に残り、
うずくまって、幕。


  https://www.youtube.com/watch?v=uVLJE5jMYEI



◆出演

ドン・ジョヴァンニ:イルデブランド・ダルカンジェロ

レポレロ:アレックス・エスポージト

ドンナ・アンナ:アルビナ・シャギムラトヴァ

ドンナ・エルヴィーラ:ジョイス・ディドナート

ツェルリーナ:ユリア・レージネヴァ

マゼット:マシュー・ローズ

騎士長:ライモンド・アチェト

ドン・オッターヴィオ:ローランド・ヴィラゾン




指揮:アントニオ・パッパーノ

演出:カスパー・ホルテン

装置:エス・デヴリン

ビデオ・デザイン:ルーク・ホールズ

合唱監督:レナート・バルサドンナ

フォルテピアノ:アントニオ・パッパーノ

ロイヤル・オペラ合唱団

ロイヤル・オペラハウス管弦楽団



◆舞台写真はこちら「ぶらあぼ」
  
 http://ebravo.jp/archives/21126