東京二期会 オペラ「魔笛」を
NHK-BSの録画で観た。
劇場で観られなかったので、
放映があるのはうれしい♪
宮本亜門演出が話題をよんだ作品。
初演は2013年、リンツ劇場。
プロジェクション・マッピング(転換がスムーズ)を使用し、
「魔笛」がゲームの世界になる。ええっ。
序曲では、黙劇ですすむ。
ふつうのリビングに三人の少年と老人がゲームやっている。
お父さんが帰ってくる。が、
鞄を投げつけたり、ウイスキーを飲むだり、大荒れ。
部屋に籠もってしまう。
お母さんは、大きな紙袋をいくつも抱えて、買い物から帰ってくる。
ピザ屋の配達が来たり、TVの修理がきたり、
と、いまどきの日常。
お父さんはタミーノ、
お母さんはパミーナ、
ピザ屋はパパゲーノ、
三人の息子は三人の童子、
おじいちゃんは、弁者
テレビ修理はモノスタトス。
テレビ画面へお父さんが飛び込み、別世界へ行ってしまう。
なんとタミーノになって、
あの龍の歌へ。
タミーノ(鈴木准)は舞台姿もすっきりと、声はリリック。
特筆なのは三人の侍女たち。
キッチュな衣装・メイク、すごい巨乳。
パミーナ(幸田浩子)は清楚で美声。
パパゲーノ(黒田博)。
ちょっとチャップリンのようなメイク、
コミカルな演技が素晴らしい。
なんといっても凄いのは夜の女王(森谷真理)。
リンツでもこの方。
あのコロラトゥーラ全開の二幕アリアですら、
技巧などかるがると超え、
たぎり立つ復讐へのおもいが
スピントのような声で歌われる。みごと。
衣装もメイクもしっかり決めて。
ザラストロ(妻屋秀和)迫力のバス低音。
肥大した脳をもち、ザラストロは巨人で異界のもののよう。
「騎士でも王子でもないタミーノを選び、
<人間の成長>のために試練を与える」。ふうむ。
この案内役になるのが三人の童子。
それを少年たちが、じつにピュアな声で歌うことか。
(なんとけなげな)
「魔笛」の童子を少年が歌うのを初めて聴いた。
モノスタトス(高橋淳)の小悪党ぶりが、たまらない。
じつに達者。
モノスタトスの捨てた臭い靴下がカーテンコールで
オーケストラから返ってくるなど、小技も楽しい。
あのパパゲーノとパパゲーナの「パ、パ、パ」。
脇役のゴリラたちがそこここで活躍。
デニス・ラッセル・デイヴィス
デニス・ラッセル・デイヴィスと読響の演奏。
歌手、舞台、演出の三位一体となった
いままでにないオペラ「魔笛」だった。
◆
ザラストロ(バス):妻屋秀和
タミーノ(テノール):鈴木 准
弁者(バリトン):加賀清孝
僧侶Ⅰ(バリトン):高橋祐樹
僧侶Ⅱ(バリトン):栗原 剛
夜の女王(ソプラノ):森谷真理
パミーナ(ソプラノ):幸田浩子
侍女Ⅰ(ソプラノ):日比野幸
侍女Ⅱ(メゾ・ソプラノ):磯地美樹
侍女Ⅲ(アルト):石井 藍
パパゲーナ(ソプラノ):九嶋香奈枝
パパゲーノ(バリトン):黒田 博
モノスタトス(テノール):高橋 淳
武士Ⅰ(テノール):成田勝美
武士Ⅱ(バリトン):加藤宏隆
童子Ⅰ:小野颯介(TOKYO FM少年合唱団)
童子Ⅱ:福田 建(TOKYO FM少年合唱団)
童子Ⅲ:髙井麻飛(TOKYO FM少年合唱団)
<指 揮>デニス・ラッセル・デーヴィス
<管弦楽>読売日本交響楽団
<合 唱>二期会合唱団
<合唱指揮>大島義彰
<演 出>宮本亜門
<装 置>ボリス・クドルチカ
<衣 装>太田雅公
<照 明>マルク・ハインツ
<映 像>バルテック・マシス
<字 幕>岩下久美子
2015年7月16、19日の公演からの収録
◆画像はこちら
7月16、19日
http://ebravo.jp/archives/19764
http://opera.jp.net/archives/2423#jp-carousel-2435