東京二期会 オペラ『魔笛』 @NHK-BS | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

ちらし



東京二期会 オペラ「魔笛」を
NHK-BSの録画で観た。
劇場で観られなかったので、
放映があるのはうれしい♪

宮本亜門演出が話題をよんだ作品。
初演は2013年、リンツ劇場。

宮本亜門



プロジェクション・マッピング(転換がスムーズ)を使用し、
「魔笛」がゲームの世界になる。ええっ。

序曲では、黙劇ですすむ。
ふつうのリビングに三人の少年と老人がゲームやっている。
お父さんが帰ってくる。が、
鞄を投げつけたり、ウイスキーを飲むだり、大荒れ。
部屋に籠もってしまう。
お母さんは、大きな紙袋をいくつも抱えて、買い物から帰ってくる。
ピザ屋の配達が来たり、TVの修理がきたり、
と、いまどきの日常。

お父さんはタミーノ、
お母さんはパミーナ、
ピザ屋はパパゲーノ、
三人の息子は三人の童子、
おじいちゃんは、弁者
テレビ修理はモノスタトス。

テレビ画面へお父さんが飛び込み、別世界へ行ってしまう。
なんとタミーノになって、
あの龍の歌へ。

タミーノ(鈴木准)は舞台姿もすっきりと、声はリリック。
特筆なのは三人の侍女たち。
キッチュな衣装・メイク、すごい巨乳。

パミーナ(幸田浩子)は清楚で美声。

パパゲーノ(黒田博)。
ちょっとチャップリンのようなメイク、
コミカルな演技が素晴らしい。

なんといっても凄いのは夜の女王(森谷真理)。
リンツでもこの方。
あのコロラトゥーラ全開の二幕アリアですら、
技巧などかるがると超え、
たぎり立つ復讐へのおもいが
スピントのような声で歌われる。みごと。
衣装もメイクもしっかり決めて。

ザラストロ(妻屋秀和)迫力のバス低音。
肥大した脳をもち、ザラストロは巨人で異界のもののよう。
「騎士でも王子でもないタミーノを選び、
<人間の成長>のために試練を与える」。ふうむ。

この案内役になるのが三人の童子。
それを少年たちが、じつにピュアな声で歌うことか。
(なんとけなげな)
「魔笛」の童子を少年が歌うのを初めて聴いた。

モノスタトス(高橋淳)の小悪党ぶりが、たまらない。
じつに達者。
モノスタトスの捨てた臭い靴下がカーテンコールで
オーケストラから返ってくるなど、小技も楽しい。

あのパパゲーノとパパゲーナの「パ、パ、パ」。

脇役のゴリラたちがそこここで活躍。


デイビス

              デニス・ラッセル・デイヴィス             


デニス・ラッセル・デイヴィスと読響の演奏。

歌手、舞台、演出の三位一体となった
いままでにないオペラ「魔笛」だった。



ザラストロ(バス):妻屋秀和
タミーノ(テノール):鈴木 准
弁者(バリトン):加賀清孝
僧侶Ⅰ(バリトン):高橋祐樹
僧侶Ⅱ(バリトン):栗原 剛
夜の女王(ソプラノ):森谷真理
パミーナ(ソプラノ):幸田浩子
侍女Ⅰ(ソプラノ):日比野幸
侍女Ⅱ(メゾ・ソプラノ):磯地美樹
侍女Ⅲ(アルト):石井 藍
パパゲーナ(ソプラノ):九嶋香奈枝
パパゲーノ(バリトン):黒田 博
モノスタトス(テノール):高橋 淳
武士Ⅰ(テノール):成田勝美
武士Ⅱ(バリトン):加藤宏隆
童子Ⅰ:小野颯介(TOKYO FM少年合唱団)
童子Ⅱ:福田 建(TOKYO FM少年合唱団)
童子Ⅲ:髙井麻飛(TOKYO FM少年合唱団)


<指 揮>デニス・ラッセル・デーヴィス
<管弦楽>読売日本交響楽団
<合 唱>二期会合唱団
<合唱指揮>大島義彰

<演 出>宮本亜門
<装 置>ボリス・クドルチカ
<衣 装>太田雅公
<照 明>マルク・ハインツ
<映 像>バルテック・マシス

<字 幕>岩下久美子

2015年7月16、19日の公演からの収録



◆画像はこちら
7月16、19日 
http://ebravo.jp/archives/19764

 http://opera.jp.net/archives/2423#jp-carousel-2435