「孫が語る萩原朔太郎」
萩原朔美(映像作家)さん、三浦雅士(文芸評論家)さんによる対談。
お二人は50年にわたる交遊とかで、
とても和やかな雰囲気。
三浦さんが詩誌「ユリイカ」の編集長をしていたときに、
原稿を依頼したのがきっかけとのこと。
朔太郎1942年に没、
その4年後に朔美さんが誕生。
「お祖父さんとしてでなく、詩人朔太郎体験は?」の質問に、
「詩はまったく読まなかった。
家に草野心平、三好達治、さまざまな詩人が来ていて、
みんな酔っぱらっていた。
のちにあの人たちがこんな素晴らしい詩を書いていたのか、
と驚愕した」。
「中学の国語の授業で『好きな詩を発表する』というときに、
朔太郎の孫はいったいどんな詩を読むか、
先生をはじめクラスメイトがかたずをのんでいるとき、
草野心平の一行詩<凧凧・・・>を朗読したところ、
いっせいにしら~とひかれた」。
「今日もここに来るので『月に吠える』を読んできた。
52編にうち半分以上に<手>がでてくる。
これは<外>と<内>との境界ではないか。
身体性と外部とのはざまにこだわったのではないか」。
「朔太郎は医者の息子で四六時中
アルコール消毒の臭いのなかにいて、
あるいは死臭を嗅ぎ、そこここに血や臓器がある、
あの神経の鋭敏すぎるものにとっては
このことが朔太郎に多大の影響を及ぼしたのでは」
などなど。
さらに萩原葉子の息子であることでも親しかった、
西脇順三郎、山本太郎、森茉莉のこと、
そして寺山修二、美輪明宏などのエピソードが次々に話され、
多岐にわたった。
あっという間に1時間半の対談時間をオーバー。
お二人とも早口なので、
みっしりと詰まった対談となって。
じつに愉しいひととき。
(画像は萩原朔美FCより)