2014年のグラインドボーン音楽祭で上演された
ヴェルディの「椿姫」をNHKBSで見た。
ヴィオレッタは、ロシアのソプラノ、ヴェネラ・ギマディエヴァ。
初めて聴いたが情感にあふれ、
みごとにヴィオレッタをうかびあがらせる。
この舞台はギマディエヴァを観ればいいというぐらい
コロラチューラの音型、一音一音に
心理の翳り、「道を踏みはずした女」の<真実の愛>がにじむ。
そして華やかで美しい立ち姿。
アルフレードはマイケル・ファビアーノ。
雰囲気がいかにも実直な田舎青年。
ちょっと頼りないが「純情一途」が伝わってくる。
声もじつにナチュラルで響きもある。
アルフレードの父ジェルモンを歌うのは、
ギリシャ生まれのバリトン歌手、タシス・クリストヤニス。
真面目に律儀に生きてきた人物をたくまずに演じる。
声も「声を聴かせる!」のでなく、
じっくりと沁みこむようなバリトン。
演出は時代をやや現代に近づけているが、
読み替えではなく、<ドラマ>を緻密に造形。
衣装もシック。
この演出だと音楽を堪能できる。
一幕
華やかなパーティーのなかで、
ヴイオレッタの病に冒されていることを複線に、
劇が組み立てられ、「乾杯のうた」や「花から花へ」など
聴かせどころがたっぷり。、
二幕二場、
ヴイオレッタを屈辱したアルフレードが客たちに非難されるが
ここでの合唱とのかけあい緊密な音楽が素晴らしい。
三幕
ギマディエワの歌唱が冴える。
◆歌劇「椿姫」(全3幕)(ヴェルディ)
<出 演>
ヴィオレッタ・ヴァレリー: ヴェネラ・ギマディエワ
フローラ・ベルヴォア: ハンナ・ヒップ
ドビニー侯爵: オリヴァー・ダン
ドゥフォール男爵: エディー・ウェイド
グランヴィル(医者): グレーム・ブロードベント
ガストン子爵: エマヌエーレ・ダグアーノ
アルフレード・ジェルモン: マイケル・ファビアーノ
アンニーナ(ヴィオレッタの小間使い): マグダレーナ・モレンドフスカ
ジョルジョ・ジェルモン(アルフレードの父): タシス・クリストヤニス
<指 揮>マーク・エルダー
<演 出>トム・ケアンズ
<合 唱>グラインドボーン合唱団
<合唱指揮>ジェレミー・バインズ
<管弦楽>ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
<美術・衣装>ヒルデガルト・ベヒトラー
<照 明>ピーター・マンフォード
収録:2014年8月5日 グラインドボーン歌劇場(イギリス)
◆なんともうここに動画が(!?)
http://operamusicale.blog.fc2.com/blog-entry-1182.html