十七代十八代中村勘三郎追悼 十月大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

十月大歌舞伎




十七代・十八代中村勘三郎追悼公演
十月大歌舞伎 夜の部を観た。

かつて、十七代のお岩、
ストレートプレイの「フィガロの結婚」など
ぎりぎり間に合って観ることができた。

十八代の舞台が姿が眼に浮かぶ。


その「寺子屋」、
すごい舞台を観てしまった!?

仁左衛門の松王丸、銀鼠の衣装での登場。
病身の身を最後の御奉公で首実検に向かう。
それも我が子を身代わりにしたという
覚悟の上でありながらもの苦渋が
ひたひたと胸に迫る。

玉三郎の戸浪、松王に寄り添いながら、
凛とした佇まい。
源蔵との息づまるやりとりのなかでの笑いの凄み。

その勘九郎の源蔵、
身代わりの子を殺す、
殺さねばならぬその「宮仕え」の引き裂かれる思い、
狂気までもが見えた。

「首実検」、「いろは送り」、
この一幕、緊迫し、息を凝らし、観た。


「鰯売り」
三島由紀夫が歌右衛門と十七代勘三郎のために
書き下ろした作品。
あの三島がよくこのような戯作を書いたもの。

勘九郎の猿源氏がなんともカワユらしい。
こうゆう喜劇ができるんですね、勘九郎。
声が十八代にそっくりなのがうれしい。

蛍火の七之助。
気品があって、きれいなこと。
「鰯売り」の声惹かれ、
お城からふらふらと出てしまい、
遊女に身を落とす。
その鰯売りと思いがけず出逢い、
鰯売りの女房になるという(ありえない)お姫さまを演じ、
思わず納得のすばらしさ。

まさに中村屋追悼にふさわしい、
充実した舞台を堪能した。




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一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

寺子屋

   
松王丸 仁左衛門
武部源蔵 勘九郎
戸浪 七之助
涎くり与太郎 国 生
百姓吾作 松之助
春藤玄蕃 亀 蔵
園生の前 扇 雀
千代 玉三郎

二、道行初音旅(みちゆきはつねのたび)

吉野山

   
佐藤忠信実は源九郎狐 梅 玉
早見藤太 橋之助
静御前 藤十郎

三、鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)

   
鰯賣猿源氏 勘九郎
傾城蛍火実は丹鶴城の姫 七之助
博労六郎左衛門 獅 童
傾城薄雲 巳之助
同 春雨 新 悟
同 錦木 児太郎
同滝の井 虎之介
同 乱菊 鶴 松
庭男実は薮熊次郎太 市 蔵
亭主 家 橘
海老名なあみだぶつ 彌十郎