むざんやな  芭蕉「おくのほそ道」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

芭蕉、加賀の国に至る。
多太八幡の神社参拝し、
齋藤実盛(さねもり)の甲(かぶと)を拝見する。



   むざんやな甲のしたのきりぎりす             芭蕉




<なんと痛ましいことよ。
討死した実盛の甲だけがここに留められ、
その下でか細く鳴く蟋蟀(こおろぎ)の声を聞いていると、
悲痛の思いに旨が疼(うず)く>

謡曲「実盛」の語を借りて、
実盛愛惜の心情を表白した。

          新潮日本古典集成「芭蕉文集」より






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 <蟋蟀(こおろぎ)・ちちろ・ちちろむし>


コオロギ科のツヅレサセコオロギ、エンマコオロギ、
ミツカドコオロギ、オカメコオロギなどの総称。

古くは「きりぎりす」といった。

秋の季語。


歳時記にあるように、
古くは[コオロギ」のことを「キリギリス」といった。
この句のキリギリスはコオロギ、と。
とてもまぎらわしい(笑)。