湯殿山 芭蕉「おくのほそ道」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

月山をくだり湯殿山(ゆどのやま)へ。
湯殿山は行者の法式(ほっしき)として、
他言することを禁じている。



  語られぬ湯殿にぬらす袂かな        芭蕉

              (たもと)


<語ることを許されぬこの湯殿山の尊厳に打たれて、
私はただ感涙で袂をぬらすばかりである>

湯殿山の尊厳を賛美して挨拶のこころも託する。

[湯殿」に「ぬらす」は縁語。
「ぬらす袂」は涙をこぼす意で、
多くの恋の涙に言うのを転用した。

且つ、湯殿山を恋野山とする本意(ご進退は湯の
湧き出る女陰形の巨岩)により、
感涙に御手付きの濡れ場を匂わせた趣向。

            新潮日本古典集成[芭蕉文集」