アーツ前橋
「カゼイロノハナ」と題された
アーツ前橋開館展を観る。
開館は2013年10月26日。
萩原朔太郎みずからの手で制作した小さな本、
その書名が「カゼイロノハナ」。
朔太郎が詩壇に登場した1913年、その100年にあたる。
場所は、前橋の市街地、
かつての西武デパートを改修したもの。
地上1階と地階がメインスペース。
真っ白な、ホリゾントとあてたような壁面に
作品が展示されている。
今回の展示は6つのテーマで構成されている。
1 歴史との対話
2 自然との対話
3 言葉との対話
4 表現の実験
5 戦争と震災
6 グローバル/ローカル パブリック/プライベート
1 歴史との対話
前橋生まれの作家の作品たち。
南城一夫「木馬の夜」がお出迎え。
好きな画家だが、未見の作品。
そして「釣り人」。
叙情的で静謐な画。
それと呼応するように若手の作品が並ぶ。
気に入ったのは須藤和之「利根川」。
夕陽に染められたような水の、波の形状が
岩絵具や和紙で。
ましもゆきの白黒の「曇花」。
「蓮華躑躅」、これは直接壁面に描かれている。
2 自然との対話
上州の山々などの絵画。
ここにも南城の「赤城山(月光)」が。
3 言葉との対話
萩原恭次郎「死刑宣告」、、
言葉の感性を自由に活字の組み方にも
表現したその詩。活版と出来上がったもの。
その「死刑宣告」を独自のタイポグラフィックで
再構成した佐藤正幸の作品。
4 表現の実験
60年代に前橋にあった実験工房NOMOの作品。
日本画の塩原友子「漠」、
このような活動をしていたのか、と。
加藤アキラの試み。
5 戦争と震災
前橋は1945年8月5日に大空襲をうけ、
ほぼ全市消失。
そのスケッチ集。
この震災への作品。
司修、60年代の「熱情」、「ノートルダム」、
「堕天使」、この3点は額装もないのでじっくり筆致まで観られる。
「モルモットの哀歌」、この裏側にも描かれ、それも展示。
他にも粘菌学者角田金五郎のノート、
物理学者でありながら「市民化学者」の立場を
つらぬいた高木仁三郎とそのオマージへの白川昌夫の作品。
などなどと紹介すると
雑然とした印象かと思われるけれど、
ギャラリーからつきのギャラリーへの導線の
ゆるやかな流れがよく、
歩いている途中に窓というか穿たれた空間があって、
そこから次の展示がのぞき、
興味を誘われる。
おもっていたより、ずっと興味深く観られた。
ショップやカフェは
かつてのセゾンのアール・ヴィヴァンを
彷彿とさせて。
この展示は1月26日まで。
アーツ前橋
http://www.artsmaebashi.jp/?page_id=147
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アーツ前橋 ホームページより
開館を記念する本展覧会は、
「カゼイロノハナ 未来への対話」と題し、
収蔵作品の展示のみならず、
地域にゆかりのある美術作家、文学者、音楽家や科学者など
幅広い分野の人たちが歴史的に積み重ねてきた
クリエイティブな仕事を、
現代の芸術家たちが再解釈して作品をつくりあげます。
これらの作品は、時代やジャンルを超えた対話によって
私たちの未来を切り拓く新たな価値観を提示するものです。
館内の展覧会のほかにも、
館外に広がる地域アートプロジェクトなど
もぜひお楽しみください。